エンジニアの転職活動|在職中・常駐のまま回す段取り
在職中の転職活動で最初に詰まるのは、志望動機でも書類でもなく、平日の日中に時間をどう作るかです。客先に常駐していると、稼働の記録は常駐先にあり、休みの申請は雇用主である自社に出します。同じ1日を見ている相手が2人いる状態で、活動の予定をどこに置くかが最初の設計になります。
先に結論を書きます。編集部が勧めるのは、隠す前提で組み立てるのではなく、活動の予定を就業時間の外に置く設計です。面接の時間そのものは、年次有給休暇の取り方で作れます(労働基準法39条4項。確認日:2026年9月2日)。
この記事は「バレない方法」を扱いません。会社を欺く手順を書かないことが、当サイトの一線だからです。代わりに、条文で確かめられることと、常駐という働き方に固有の制約だけを書きます。
編集部が検索上位10件の見出しを数えたところ、h1〜h3の計167件に「常駐」「SES」「有給」「勤怠」を含む見出しは1件もありませんでした(2026年9月2日時点)。時間の作り方は、この分野の解説記事がほとんど扱ってこなかった論点です。
在職中の転職活動は、隠すのではなく「就業時間の外に置く」で設計します
在職中の転職活動とは、いまの勤め先に在籍したまま、応募から内定・条件交渉までを進める活動を指します。 退職してから動く場合と違うのは、収入が続いている代わりに、使える時間が就業時間の外側に限られる点です。
編集部が勧める段取りは5つです。番号の順に意味があります。
- 自分の稼働がどこに記録されているかを確かめる
- 連絡を受け取れる時間帯を先に決めて、応募先とエージェントに渡す
- 面接の時間を、年次有給休暇の取り方で作る
- 嘘の理由を作らない
- 契約更新の意思確認が来たときの答え方を、先に決めておく
この5つは、どれも隠すための手順ではありません。 会社に説明を求められたときに、そのまま説明できる形で進めるための順番です。
なお、この記事は活動の流れ全体(書類の作り方、面接での受け答え、内定後の交渉)を網羅しません。それぞれ別の記事に分けてあり、本記事は時間と予定の側だけを扱います。
準備するもの・前提条件
手を動かす前に、次の4つを手元に集めてください。4つのうち3つは、いま手元にある書面と自分のメモで足ります。
- 自分の契約類型が分かる書面(雇用契約書・労働条件通知書。派遣なら就業条件を明示した書面)
- 直近3か月の勤怠の実績(始業・終業の時刻と、休みを取った日)
- 年次有給休暇の残日数と、自社に時間単位で取れる制度があるかどうか
- 電話に出られる時間帯(昼休み・終業後・土曜など)を書き出したメモ
そろっていないものがあっても、そこで止まらなくて構いません。最初に確かめてほしいのは3つ目です。 時間単位の年次有給休暇は、どの会社でも使えるわけではないからです。
書類の側がまだ整っていないなら、そちらが先になります。担当した工程と、その中で自分が何を決めたかを書ける形にする手順は、動き出す前に書類を仕上げておく理由にまとめています。
常駐で働くと、1日を見ている相手が2人になります
常駐先はあなたの不在に気づき、自社は申請の記録を持ちます。 同じ1日について、見ているものが違う相手が2人いる、ということです。自社のオフィスだけで働く人と条件が違うのは、この一点です。
どちらがどこまでの権限を持つかは、契約が労働者派遣か準委任(SES)かで変わります。勤怠の記録や苦情の窓口が制度としてどちら側にあるのかは、勤怠の記録が誰の手に残るかの条番号つき整理に条文で整理してあります。本記事はその区別を前提に、活動の予定をどこに置くかだけを扱います。
半日の不在は、当日ではなく前の週に決めます
急な中抜けは、常駐先の側にいちばん残ります。 予定表の空白も会議の欠席も、直前の連絡ほど目につくためです。
編集部が勧めるのは、面接の候補日を先に押さえ、休みの申請を前の週までに出すことです。理由は2つあります。
- 早く出すほど業務の調整の余地が残る(直前の申請ほど断られやすくなります)
- 応募先にも「この日なら確実に空く」と伝えられる
ここで嘘の理由を作らないでください。次の見出しのとおり、取得の理由を申告させる定めは条文の側には見当たらないというのが、編集部が原文で確認した結果です。
連絡を受け取れる時間帯を、先に相手へ渡します
電話が鳴る時間を自分で決めておくと、常駐先での不自然な離席が減ります。 応募先やエージェントには、最初のやりとりで次の3つを伝えてください。
- 平日の日中は電話に出られないこと(メールなら随時確認できること)
- 電話を受けられる時間帯(昼休み・終業後など、具体的な時刻で)
- 面接に出せる曜日と時間帯
これは隠すための工夫ではありません。相手の待ち時間を減らす連絡設計であり、選考が止まる原因をひとつ消す作業です。

面接の時間は、年次有給休暇の取り方で作ります
年次有給休暇は労働基準法39条に定めのある制度で、条文の名宛人は使用者です。 編集部は2026年9月2日に、e-Gov法令検索で同条の全項を原文にあたって確かめました。
時間単位の年次有給休暇は、労使協定がある事業場でだけ使えます
1日単位ではなく時間単位で取れるのは、労使協定がある場合に限られます。 労働基準法39条4項の柱書は、次のとおりです(確認日:2026年9月2日)。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。(労働基準法39条4項)
同項が協定で定めることとしている事項は、次の3つです。号の文言は、そのまま引いています。
| 号 | 定める事項 |
|---|---|
| 1号 | 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲 |
| 2号 | 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。) |
| 3号 | その他厚生労働省令で定める事項 |
2号の括弧書きが効きます。 時間単位で取れるのは年5日以内で、それを超える分は日単位に戻ります。協定がない事業場では、そもそもこの取り方ができません。
したがって確かめる順序は3つです。第一に自社に労使協定があるか、第二にあるなら1号の対象に自分が入るか、第三に残っている時間数はいくらか。ここまで分かれば、1回の面接に何時間あてられるかが決まります。
取得の理由を申告させる定めは、条文には見当たりません
編集部が労働基準法39条の第1項から第10項までを原文で確認した範囲では、労働者に取得の理由や目的の申告を求める文言は見当たりませんでした(確認日:2026年9月2日)。条文にないというだけで、会社の申請書に「理由」の記入欄があること自体は珍しくありません。
ここから編集部が言えることは1つです。理由の欄があっても、面接のために嘘の事情を作る必要はありません。 空欄のまま出せるのか、私用と書けば足りるのかは、自社の運用を確かめてください。
なお、会社が時季を変更できる場面や、退職前に残日数を消化する段取りは本記事では扱いません。辞めると決めたあとに何から動かすかは、辞めると決めてからの手順をまとめた記事に分けてあります。

「バレない方法」を当サイトが書かない理由
当サイトは、在職中の転職活動が会社に発覚しない方法を扱いません。 理由は2つあります。
- 会社を欺く手順は書かない——相手への不利益を前提にした行動を勧めないというのが、当サイト全体の一線です
- 隠す前提そのものが要らない場合がある——後述のとおり、在職中の転職活動を禁じる法令は、編集部が確認した範囲では見当たりませんでした
編集部が勧めるのは、隠すことではなく、会社の時間と設備を使わないことです。就業時間中に業務用の端末や会議室で活動を進めれば、それは説明のつかない行動になります。逆に、就業時間の外で自分の端末から進めているなら、説明を求められたときに説明できます。
採用側として面接に臨んできたのは、編集部の運営メンバーです(職種はエンジニアではなくWebマーケティング領域)。そのときの実感として、候補日を一度に複数出してくる応募者ほど、選考が早く終わっていました。 隠しながら1日ずつ調整する進め方は、結果として活動そのものを長引かせます。
契約更新の意思確認と、活動が重なったときの答え方
「次も続けますか」と聞かれる場面は、常駐で働いていると定期的に来ます。 案件の継続を確認するための面談で、雇用契約そのものの更新とは別のことが多い点に注意してください。
編集部が確認した範囲では、転職活動をしていることを会社へ申告させる法令は見当たりませんでした。それでも、確定していない意思を「続けます」と確定的に伝えることは勧めません。 相手はその返事で、次の期間の要員の計画を確定させるからです。
勧めるのは次の3つです。いずれも、嘘をつかずに時間を確保するための答え方です。
- 回答の期限を先に聞く——いつまでに返事が必要かが分かれば、嘘をつかずに待てる幅が見えます
- 答えられる範囲で答える——「いまの案件は続けたい」「次の更新までは分からない」は、どちらも嘘ではありません
- 決まっていないことを、決まったように言わない——後から覆すと、相手の計画を壊します
ここで守っているのは、あなたの体裁ではなく、相手の計画です。 在職中の活動で気をつける相手は、会社の目ではなく、あなたの返事を前提に動く人たちだと編集部は考えます。
そもそもいつ動き出すかという判断は、本記事の外にあります。本記事が扱うのは、動くと決めたあとの回し方だけです。
在職中の転職活動を禁じる法令は、編集部が確認した範囲では見当たりません
編集部が確認した範囲では、在職中に転職活動をすること自体を禁じる法令は見当たりませんでした。 参考になるのは日本国憲法22条1項で、次のように定めています(確認日:2026年9月2日)。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。(日本国憲法22条1項)
ただし編集部は、ここから「就業規則で禁止しても無効だ」とは書きません。憲法の規定が私人と私人の関係にそのまま適用されるかは、争いのある論点だからです。 個別の就業規則の効力は、条文だけで決まるものではありません。
実務として押さえるのは次の2点です。どちらも、条文の解釈を待たずにできることです。
- 自社の就業規則を自分で読む——活動そのものより、副業・競業・情報の持ち出しに関する条項が関係することがあります
- 迷ったら公的な窓口に確認する——都道府県労働局や労働基準監督署、弁護士等の専門家が相談先です
ここまでは制度の側の話で、あなたの会社に何が書いてあるかは別の問題です。就業規則の中身は、編集部の側からは確認できません。
うまくいかないときの対処法
有給休暇を申請したが取れなかった
まず、断られた理由が「業務の都合」なのか「制度がない」なのかを分けてください。 前者なら日程の再調整で済むことがあり、後者は制度そのものの話になります。
時間単位の制度がない事業場では、半日または1日の単位で取ることになります。その場合は面接の候補日を増やし、1回の休みで2社に会えるようにまとめるのが現実的です。
面接が平日の日中でしか組めないと言われた
曜日と時間帯の希望は、応募の時点で出して構いません。 出さずに進めると、相手はあなたが平日日中に動けると想定して枠を押さえます。
オンラインで受けられるか、終業後の時間帯があるかは、聞けば分かることです。聞かない限り、選択肢はこちらに出てきません。
活動が長引いて、現場の仕事が回らなくなった
そうなったら、同時に応募する社数を減らしてください。 並行して進める数を絞ると、日程の調整に使う時間そのものが減ります。
編集部は、在職中の活動で現職の評価を落とすことを勧めません。いまの現場での評価は、条件を交渉する段になってあなたの側に残る材料だからです。
活動を続けるあいだにやっておくこと
社外からの評価は、面接の場だけで受け取るものではありません。 応募していない時期でも、提示が返ってくる経路を1本だけ開けておくと、活動そのものの負荷が下がります。
その経路の作り方は、就業時間の外側だけで続けられる測定の手段にまとめています。そこで返ってくる提示が、あなたの値札(市場価値)の現在地です。
何を最優先するかで、進め方は変わります
編集部は、ここを「人それぞれ」で終わらせません。 最優先するものごとに、結論を分けて書きます。全員に同じ進め方を勧めることはしません。
- 年収を最優先するなら——活動の期間を延ばしてでも、複数社の提示を並べてから決めてください。1社の提示だけでは、それが高いのか低いのかを判定できません
- 時間や場所を最優先するなら——面接の段階で勤務地と稼働の実態を確かめ、条件が合わない求人からは早く降りてください。降りる判断が早いほど、在職中の負荷は下がります
- 心の平穏を最優先するなら——同時に進める社数を2社までに絞ってください。活動そのものが消耗の原因になるなら、進め方の設計を先に直すべきです
よくある質問
在職中に転職活動はできますか?
できます。 編集部が確認した範囲では、在職中の転職活動そのものを禁じる法令は見当たりませんでした(→「在職中の転職活動を禁じる法令は、編集部が確認した範囲では見当たりません」)。
ただし、就業時間中に会社の時間と設備を使って進めることは別の問題になります。活動は就業時間の外に置いてください。
在職中に転職活動をするのは違法ですか?
編集部が確認した範囲では、これを違法とする法令は見当たりませんでした。 日本国憲法22条1項は職業選択の自由を定めていますが、そこから個別の就業規則の効力までが決まるわけではありません。
個別の事案の判断は、都道府県労働局・労働基準監督署や弁護士等の専門家に確認してください。編集部は適法かどうかの判定をしません。
在職中に転職活動をしてもバレますか?
編集部は、発覚を避けるための手順を扱いません。 会社を欺く方法を書かないことが、当サイトの一線だからです。
書けるのは、説明を求められたときにそのまま説明できる形で進める方法だけです。就業時間の外に置き、会社の設備を使わなければ、隠す必要のある行動そのものが減ります。
在職中の転職活動で連絡可能時間はどう伝えますか?
自分で決めて、最初のやりとりで相手に渡してください。 決めずに始めると、常駐先での離席が増えます。
昼休み・終業後・土曜のうち、確実に電話に出られる時間帯を1つ以上示すのが実務的です。メールなら随時確認できることも、あわせて伝えてください。
在職中に転職活動をする場合、入社日はどのくらい待ってもらえますか?
編集部が確認した範囲では、待ってもらえる期間の目安を示した公的な基準は見当たりませんでした。 実際には、引き継ぎと退職の手続きに必要な期間から逆算することになります。
退職を切り出す順番と法律上の区切りは本記事では扱いません。自社の就業規則と労働契約の定めを先に確認してください。
まとめ
- 在職中の転職活動で先に決めるのは、志望動機ではなく時間をどこに置くかです
- 段取りは5つ——①稼働の記録の所在を確かめる ②連絡可能な時間帯を先に渡す ③年次有給休暇で面接の時間を作る ④嘘の理由を作らない ⑤更新の意思確認への答え方を決めておく
- 常駐だと、同じ1日を見ている相手が2人います。 どちらがどこまでの権限を持つかは契約類型で変わり、条番号つきの整理は別の記事にあります
- 時間単位の年次有給休暇は、労使協定がある事業場でだけ使えます。 協定で定めるのは①対象労働者の範囲 ②日数(五日以内に限る。) ③その他厚生労働省令で定める事項の3つです(労働基準法39条4項。確認日:2026年9月2日)
- 取得の理由や目的の申告を求める文言は、労働基準法39条の第1項から第10項までを原文で確認した範囲では見当たりませんでした。 嘘の事情を作る必要はありません
- 当サイトは「バレない方法」を書きません。 勧めるのは、隠すことではなく会社の時間と設備を使わないことです
- 在職中の転職活動を禁じる法令は、編集部が確認した範囲では見当たりませんでした。 ただし憲法22条1項から個別の就業規則の効力までは決まらないため、編集部は「禁止しても無効」とは書きません
- 契約更新の意思確認では、確定していない意思を確定的に伝えない。回答の期限を先に聞き、答えられる範囲で答えてください
本記事は、制度と段取りを一般的に整理したものです。就業規則や契約の個別の当てはめは、自社の担当部門や、都道府県労働局・労働基準監督署などの公的な窓口に確認してください。
編集部から最後に1つ。在職のまま進めることの利点は、条件が合わなければ降りられることです。 降りる自由が手元に残っているうちは、焦って決める理由がありません。
参考・出典
- e-Gov法令検索「労働基準法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 (39条4項〈時間単位の年次有給休暇〉の柱書=本文に逐語で掲載。同項1号「時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲」/2号「時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)」/3号「その他厚生労働省令で定める事項」。あわせて同条第1項から第10項までを取得し、労働者に取得の理由・目的の申告を求める文言がないことを確認した。2026年9月2日に編集部が法令APIで原文を取得し逐語照合。項番号は問いを変えて2回確認している)
- e-Gov法令検索「日本国憲法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION (22条1項「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」。2026年9月2日に編集部が法令APIで原文を取得し逐語照合。条・項の番号は問いを変えて2回確認している)
- 編集部によるSERP調査(2026年9月2日実施):対策キーワードの検索上位10件からh1〜h3の見出しを抽出し(計167件)、①「常駐」「SES」「有給」「勤怠」「就業規則」「派遣」を含む見出しがいずれも0件であること、②「在職中」を含む見出しは1件のみで、活動の段取りではなくスキルの積み方についての見出しであることを確認。個別のサイト名・企業名は、評価の断定を避けるため記載しない
- 編集部によるキーワード調査(2026年9月2日実施):同キーワードの共起語を取得し、上位50語に「常駐」「SES」「有給」「勤怠」「派遣」「就業規則」が1語も現れないことを確認
- 編集部による質問調査(2026年9月2日実施):「在職中 転職活動」を含む質問を69件取得し、本記事のよくある質問には実在するクエリのみを採用した(相対需要はこの調査結果内での相対値であり、他のキーワードの結果とは比較できません)
