エンジニアのスキルアップ|40代で値札が動く積み方
エンジニアのスキルアップは、何を積むかより先に「どこで積むか」で結果が大きく変わります。同じ努力量でも、需給の薄い領域に積んだ人と、厚い領域に積み増した人とでは、求人票に書かれる条件がまったく違ってくるからです。
この記事は、おすすめスキルや資格を並べる記事ではありません。積んでも市場価値が動きにくい4つのパターンを正面から扱ったうえで、動きやすい3つの型を公的データで整理します。編集部が上位記事を確認した範囲では、「動かない積み方」を構造から扱う記事はほとんど見当たりませんでした。
40歳を超えてから何を積むか迷っている人、10年以上同じ言語と工程で経験だけが増えている人に向けて、判定の枠組みそのものをお渡しします。
結論|エンジニアのスキルアップは「どこで積むか」で結果が変わる
先に結論を書きます。スキルの中身が同じでも、積む場所(職種・工程・業界)によって、そのスキルに付く値段は変わります。理由は単純で、値段は本人の努力量ではなく、求人側の需要と、その要件を満たす人の供給量で決まるからです。
そのため本記事は、次の順で「積み方の地図」を示します。上から順に読んでも、必要な項目だけ拾い読みしても意味が通るように書いています。
- 前提:スキルと年収の因果を編集部が断定しない理由と、代わりに使う3つの物差し
- なぜ動かないのか:商流の下層では積める工程が最初から限られているという構造
- 動く積み方:需給・工程・掛け算の3つの型
- 動かない積み方:編集部が効きにくいと考える4つのパターン
- 資格の置き場所:IT系に業務独占資格はない、という出発点
- 旬の見極め方:雰囲気ではなく需給の実測で判定する
- 進め方:測る→選ぶ→積む→証明する の4ステップ

前提|「このスキルを積めば年収が上がる」と編集部は書きません
質問への答えを先に書くと、特定のスキルを積んだことと、その人の年収が上がったことを因果として結ぶ公的データを、編集部が確認した範囲では見つけられませんでした。
上位記事の一部は「スキルアップは収入アップにつながる」と書いていますが、当サイトはこの書き方を採りません。相関がありそうに見えることと、因果が確かめられていることは別だからです。根拠を示せない断定は、読者の時間とお金を使わせる側の言葉としては無責任だと編集部は考えます(当サイトが何を根拠に何を勧めるかは編集方針で全部公開しています)。
代わりに使うのが、次の3つの公的な物差しです。この3つは互いに別系列なので、つないで1本の梯子として読むことはできません。
なお表中のITSSとは、経済産業省が2002年に策定したITスキル標準のことで、人材育成のための指標です。レベルは7段階に分かれています。
| 物差し | 何がわかるか | 出所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ITSSレベル別年収レンジ | スキルレベルごとの年収の帯(第一四分位〜第三四分位) | 厚生労働省job tag掲載のスキルレベル別年収データ | 帯が重なるため、年収から逆にレベルは特定できない |
| 在職者の平均年収 | 職種区分ごとの平均の水準 | 同じくjob tag掲載の在職者データ | 上の帯とは別系列。集計方法は掲載元が明示していない |
| 職種別の有効求人倍率 | その職種の需給の緩さ・きつさ | 同じくjob tag掲載(令和6年度) | 求人の経験レベルの内訳は公開されていない |
**同じjob tagの中の数字でも、ITSSレベル別のレンジと在職者の平均年収は集計の出どころが異なります。**したがって本記事では、この2つを引き算したり、下から順に積み上がる1本の梯子として並べたりしません。帯の中の位置と、平均との距離は、別々に読んでください。
なぜ積んでも値札が動かないのか|下請の担当工程は開発56.6%、要件定義5.5%
積んでいるのに値札が動かない原因は、本人の努力不足とは限りません。商流の下層では、積める工程そのものが最初から限られているためです。
商流の下層では、積める工程が最初から限られている
公正取引委員会が2022年に公表したソフトウェア業の実態調査によると、下請事業者が担当する工程の内訳は次のとおりでした(法人向けアンケート、回答2,589社、1つ選択)。
| 担当する工程 | 割合 |
|---|---|
| 開発(プログラミング) | 56.6% |
| 設計(外部設計・内部設計) | 20.6% |
| 運用 | 5.9% |
| ユーザーへの提案・要件定義 | 5.5% |
| システムインテグレーション | 5.4% |
| テスト | 1.3% |
(出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」令和4年6月公表)
**要件定義に関われる下請事業者は5.5%**です。上流の経験が職務経歴書に書けないのは、意欲や能力の問題ではなく、そもそも現場に上流の仕事が回ってきていない可能性があります。この構造はSESの仕組みと商流の解説で全体像を扱っています。
そして、この構造の中では**「同じ工程で年数を足す」以外の積み方が現場からは出てこない**ことになります。ここが、努力しているのに値札が動かない状態の入口です。
産業の水準は40代を通じて上がっている
もうひとつ、自分の推移と比べるための線を置いておきます。情報通信業(産業別)の年齢階級別の所定内給与は次のように推移します。
| 年齢階級 | 所定内給与(月額・一般労働者・男女計) |
|---|---|
| 30〜34歳 | 36万3,400円 |
| 40〜44歳 | 45万6,800円 |
| 45〜49歳 | 49万1,700円 |
| 50〜54歳 | 49万1,300円(横ばい〜微減) |
| 55〜59歳 | 51万6,300円(最も高い階級) |
(出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第5-1表「産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」〔概況10ページ「(5)産業別にみた賃金」〕、2025年6月分)
読み取れることは3つあります。第一に、40代を通じて水準は上がっています。第二に、50代前半でいったん横ばい〜微減を挟み、最も高いのは55〜59歳という遅い位置です。第三に、右肩上がり一直線のカーブではありません。
なお、これは産業大分類「情報通信業」の数字であり、産業計(全産業・男女計)は40〜44歳36万4,300円、最も高い55〜59歳で39万6,200円です(同「(2)性別にみた賃金」第2表「性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び年齢階級間賃金格差」〔概況7ページ〕)。2つは別の系列なので、混ぜて読むことはできません。
産業の水準が40代で上がっているのに自分の単価が3年動いていないなら、差がどこで生まれているかを見に行く価値があります。単価と給与の間で何が起きているかはSESの単価相場と給与の関係で分解しています。
値札が動く積み方|編集部が挙げる3つの型
ここからが本題です。編集部は、値札が動きやすい積み方を需給・工程・掛け算の3つの型に整理しています。いずれも「本人の頑張り」ではなく「求人側から見た希少性」を上げる方向に効く積み方です。
型1|需給の薄い側に積む
同じ「エンジニア」でも、職種によって求人の需給はまったく違います。job tagが掲載している職種別の有効求人倍率(令和6年度)を並べると、その差が見えます。
| 職種(job tagの区分) | 有効求人倍率(令和6年度) |
|---|---|
| システムエンジニア(組込み、IoT) | 4.77 |
| システムエンジニア(受託開発)/(Webサービス開発) | 2.57 |
| システムエンジニア(基盤システム) | 2.28 |
| プロジェクトマネージャ(IT) | 2.1 |
| プログラマー | 0.94 |
(出典:厚生労働省job tag 各職業詳細ページ、令和6年度職業安定業務統計に基づく掲載値)
**プログラマー区分は0.94倍で、開発系のなかで唯一1倍を下回っています。**一方、組込み・IoT系のSEは4.77倍で、同じ開発系のなかでも需給の緩さが5倍ほど違います。どこに積むかを変えるだけで、同じ努力量の希少性が変わるということです。
ただし断定は避けます。job tagのプログラマー区分が、どの経験レベルの求人を含むかの内訳は公開されていません。未経験可の求人が含まれるかどうかも分からないため、この数字だけで「プログラマーは不利」と読むことはできません。
需給の傾向を見る材料として使い、進路を決める単独の根拠にはしないというのが編集部の使い方です。
型2|工程を上に積む
前述のとおり、下請で要件定義に関われるのは5.5%でした。裏を返せば、上流の工程は供給が薄いということです。
job tagが掲載しているITSSレベル別の年収レンジ(第一四分位〜第三四分位の範囲)を、区分ごとに並べます。区分が違う表なので、行をまたいで引き算はしません。
| 職種区分 | レベル1〜2 | レベル3 | レベル4 | レベル5以上 |
|---|---|---|---|---|
| 設計・構築 | 420万〜620万円 | 450万〜700万円 | 500万〜780万円 | 600万〜950万円 |
| プロジェクトマネージャ | ― | 600万〜925万円 | 675万〜950万円 | 700万〜1,100万円 |
(出典:厚生労働省job tag 各職業詳細ページのスキルレベル別年収データ。いずれも「金額は第一四分位から第三四分位の範囲を表しています」との注記あり)
注意点を2つ書きます。第一に、帯は互いに大きく重なっているため、いまの年収から自分のレベルを一意に決めることはできません。
第二に、ITSSのレベルは資格と1対1で対応する指標ではありません。レベル1〜3が基本情報・応用情報レベル、レベル4以上が高度試験レベルに相当するという目安として整理されているものです。

型3|掛け算で積む
3つ目は、技術に別の軸を掛ける積み方です。同じ技術でも、業務知識やドメインと組み合わせると、要件を満たせる人の数が一気に減ります。
たとえば基幹システムの保守を長く担当してきた人であれば、業務フローの理解そのものが希少な資産です。技術単体では埋もれる経験も、「その業界の業務がわかる技術者」という条件になると、供給側の人数が変わります。
当サイトはこれを「職種を固定して、身を置く業界を選び直す」という形で勧めています。転職そのものより先に、いまの技術に何を掛けると要件が絞れるかを考える順序です。
値札が動かない積み方|編集部が効きにくいと考える4パターン
ここは他の記事があまり書かない部分なので、はっきり編集部の意見として書きます。**次の4つは、時間をかけても市場での希少性が上がりにくい積み方だと編集部は考えます。**事実の断定ではなく、判断の基準としてお読みください。
- 社内・現場でしか通用しない形で積む。独自フレームワーク、独自の帳票仕様、特定の常駐先固有の運用ルール。習熟しても、社外の求人要件の言葉に翻訳できません
- 需給の厚い側に積み増す。同じ言語・同じ工程の年数を足す積み方です。年数は増えますが、同じ要件を満たせる人の数は減りません
- 証明できない形で積む。実務でやっていても、職務経歴書やスキルシートに書ける粒度で言語化していなければ、選考の場では存在しないのと同じ扱いになります
- 資格だけで積む。後述のとおりIT系に業務独占資格はないため、資格は学習の証明にはなっても、就業の要件ではありません
とくに2は自覚しにくいパターンです。10年以上まじめに働いてきた人ほど「経験は積んでいる」と感じますが、求人側が見ているのは経験年数ではなく、要件を満たせる人が何人いるかです。いまの環境で積み方を変える余地があるかどうかは、SESを続けるかどうかの判断材料も合わせて確認してください。

資格は「積む」のどこに置くか|IT系に業務独占資格はありません
質問に直接答えます。ITエンジニアには業務独占資格がなく、資格がなくても就業できます。情報処理技術者試験の各区分は能力の認定であって、就業の要件ではありません。
(出典:独立行政法人情報処理推進機構〈IPA〉「試験区分一覧」。2026年8月16日に編集部が同ページで確認)
看護師などの業務独占資格とは、この点が決定的に違います。したがって当サイトは、資格を「取れば値札が動くもの」ではなく「学習した範囲を第三者に示す道具」として位置づけます。効果を断定しないのはそのためです。
名称に制約があるのは情報処理安全確保支援士
例外的に名称の制約があるのが、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)です。情報処理の促進に関する法律24条が「情報処理安全確保支援士でない者は、情報処理安全確保支援士という名称を使用してはならない」と定めています。
押さえるべき点は3つです。
- 試験の合格だけでは名乗れません。登録が必要で(同法12条1項)、登録は3年ごとの更新制です(同12条2項)
- 24条違反には罰則があり、30万円以下の罰金です(同法78条1項2号)
- ただし業務独占ではありません。支援士でなければセキュリティの仕事ができない、ということではありません
(出典:e-Gov法令検索「情報処理の促進に関する法律」。条文はジャンル共通の一次情報として2026年7月28日に逐語照合済み)
2026年度から応用情報・高度試験がCBT方式に移行します
受験を検討している人向けに、制度変更を明記しておきます。IPAは2025年8月12日に発表を行いました。2026年度開催分から、応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験がペーパー方式からCBT方式へ移行します(CBTはコンピュータを使って受験する方式のことです)。
- 従来は春期(4月)・秋期(10月)に各1日のみの実施でしたが、一定期間内の複数日で実施予定となり、受験者が日程と会場を選べます
- 「各試験区分で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません。また、出題形式(多肢選択式・記述式・論述式)、出題数及び試験時間も同様に変更はありません」(発表原文)
- 前期試験は2026年11月頃の予定です。対象は応用情報・ITストラテジスト・システムアーキテクト・ネットワークスペシャリスト・ITサービスマネージャ・情報処理安全確保支援士
- 後期試験は2027年2月頃の予定です。対象は応用情報・プロジェクトマネージャ・データベーススペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリスト・システム監査技術者・情報処理安全確保支援士
(出典:IPA「応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験がCBT方式での実施に移行予定」2025年8月12日発表/IPA「2026年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の実施予定について」公開2026年2月24日・最終更新2026年7月6日。いずれも2026年8月16日に編集部が原文で確認)
**「春期・秋期の年2回、筆記試験」という前提で書かれた資格記事は、2026年度以降は前提が変わっています。**受験計画を立てる際は、必ずIPAの当該年度のページで日程を確認してください。
旬のスキルをどう見極めるか|雰囲気ではなく需給の実測で
当サイトは「旬のスキルほど複利で効く」という立場を取ります。需要に対して専門家の供給がまだ少ない時期に積んだスキルほど、その後のキャリア全体で効き続けやすいからです。
これは編集部の運営メンバーの実体験でもあります。2006年から2007年、社会人1〜2年目のころにSEOの実務(内部施策・外部施策)へいち早く踏み込みました。その専門性が土台となり、以降約20年のキャリアで一貫して強みとして機能し続けています。
当時のSEOは専門家と呼べる人がまだ少なく、供給が薄い側に立てたことが大きかったと本人は振り返っています。
※このメンバーの職種はWebマーケティング領域です。エンジニア職固有の体験ではないため、体験の当てはめではなく「供給が薄い時期に積むと長く効く」という原理の実例としてお読みください。
ただし、「流行っているらしい」という空気だけで飛びつくのは危険です。判定は雰囲気ではなく、需給の実測で行ってください。編集部が現時点で参照している材料は次の2つです。
- 供給側の薄さの傍証:生成AIをめぐる日本と米国の差です。コード生成AIの利用率は日本7.0%・米国35.4%、「社内システム開発・運用」でのAI活用は日本50.4%・米国88.7%でした。「生成AI活用に必要なスキルやノウハウを学ぶ環境がある」と答えた企業も日本39.9%・米国62.7%です(総務省「令和8年版情報通信白書」2025年度調査)
- 需要側の逆風:情報通信業の新規求人は2025年8月以降8か月連続で前年割れです。令和8年3月は前年同月比▲15.8%、情報サービス業は▲17.1%でした(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」)
この2つは方向が逆に見えますが、どちらも事実です。産業としては成長していても採用は調整局面にある、という現在地として読むのが正確でしょう。原因を断定できる材料は編集部にはありません。
なお「2030年にIT人材が79万人不足する」という数字は、経済産業省が2019年4月に公表した試算の高位シナリオの値です。7年前の推計であり、いまの需給の証拠としては使えません。
40代の積み方の進め方|測る→選ぶ→積む→証明する
最後に、明日から取れる順序を4ステップで示します。積み始める前に測るのが、当サイトの一貫した順序です。
- 測る:いまの自分にどんな要件でどんな金額のオファーが来るかを実測します。求人票とスカウトの想定年収は、自分では作れない外部からの評価です
- 選ぶ:求人票に並ぶ要件のうち、自分が満たせていない項目を書き出します。そこが「積む対象の候補」で、需給の薄い側から優先します
- 積む:候補のうち、いまの現場の業務内で積めるものと、業務外(学習・副業・資格)でしか積めないものを分けます。前者から手を付けるほうが実績として書きやすくなります
- 証明する:積んだものを職務経歴書・スキルシートに書ける粒度の言葉に変換します。書けない実績は、選考の場では存在しないのと同じです
このうち1と2は、転職の意思が固まっていなくても実行できます。むしろ転職しないと決めている人ほど、社内で条件を交渉するための材料として先に測っておく価値があるというのが編集部の立場です。
働き方そのものを見直す選択肢を検討する場合は、客先常駐という働き方の全体像も合わせて読んでください。
よくある質問
エンジニアがスキルアップできる会社とは、どんな会社ですか?
社外で通用する実績が残る会社です。編集部は、市場で通用するスキルが身につくこと、学習や副業に使う時間と体力が残ること、副業が可能であることの3点を重く見ています。
逆に、社内でしか通用しない仕組みの習熟ばかりが求められる会社や、長時間労働で会社の外に使う時間が残らない会社は、給与が高くても積極的には勧めません。研修制度の有無より、担当する工程に上流が含まれるかを先に確認してください。
40代のエンジニアに求められるスキルは何ですか?
年齢そのものより、供給が薄い要件を満たせるかどうかです。編集部が確認した範囲では、40代のエンジニアに特有のスキル要件を示す公的データはありませんでした。
ただし本記事で見たとおり、下請では要件定義に関われるのが5.5%と少なく、上流工程の経験は供給が薄い側にあります。同様に、組込み・IoT系のような需給の緩い職種も候補になります。「40代だから」ではなく「薄い側はどこか」で選ぶのが編集部の勧め方です。
エンジニアになるには資格は必要ですか?
**必要ありません。**ITエンジニアには業務独占資格がなく、無資格で就業できます(IPA「試験区分一覧」)。
ただし、名称に制約がある資格が1つだけあります。情報処理安全確保支援士は名称独占で、試験合格だけでは名乗れません。登録と3年ごとの更新が必要です(情報処理の促進に関する法律24条・12条1項・12条2項)。
ITエンジニアが転職に有利な資格はどれですか?
**編集部は特定の資格を「有利」と断定しません。**資格と採用結果の関係を示す公的データを、編集部が確認した範囲では見つけられなかったためです。
そのうえで判断材料を2つ挙げます。第一に、応募したい求人票の要件欄に資格名が実際に書かれているかを確認すること。第二に、実務経験がすでにある領域の資格ほど、選考で説明しやすい形になりやすいことです。資格を先に選ぶのではなく、求人票の要件から逆算して選ぶ順序を勧めます。
エンジニアは1日どのくらい勉強すればいいですか?
**時間を目標にすること自体を、編集部は勧めません。**同じ時間でも、需給の厚い側に積めば希少性は上がりにくく、薄い側に積めば上がりやすいからです。
決めるべきは時間量ではなく対象です。求人票で満たせていない要件を1つ選び、それが職務経歴書に書ける形になるまで続ける——という区切り方のほうが、途中で成果を確認できます。
エンジニアにとってスキルアップとは何ですか?
**求人側から見た自分の希少性を上げることです。**技術の習熟度が上がることと、市場で付く値段が上がることは、必ずしも同じではありません。
当サイトがスキルアップを「積む」と呼んでいるのは、それが市場価値(値札)を上げるための工程の1つだからです。積む前に測り、薄い側を選び、書ける形にするところまでが一続きの作業だと考えてください。
まとめ
- エンジニアのスキルアップは、**何を積むかより先に「どこで積むか」**で結果が変わります
- 積んでも値札が動かない原因は努力不足とは限りません。下請の担当工程は開発56.6%に対し**要件定義5.5%**で、積める工程が構造的に限られています(公正取引委員会2022年調査)
- 情報通信業(産業別)の水準は40代を通じて上がり、50代前半で横ばい〜微減を挟んだうえで55〜59歳が最も高い形です。産業の水準が上がっているのに自分の単価が動かないなら、差の在りかを見に行く価値があります
- 動きやすい積み方は3つ。需給の薄い側に積む(職種別の有効求人倍率は0.94倍〜4.77倍と差がある)/工程を上に積む/掛け算で積む
- 動きにくい積み方は4つ。社内でしか通用しない形/需給の厚い側への積み増し/証明できない形/資格だけ
- **IT系に業務独占資格はありません。**資格は学習の証明であって就業の要件ではなく、効果を断定できるデータも編集部は確認できていません。なお2026年度から応用情報・高度試験・情報処理安全確保支援士試験はCBT方式に移行します
- 次に取る行動は、積み始める前に測ることです。転職の意思が固まっていなくても、社内で交渉するための材料として測っておく価値があります
※本記事の統計・制度情報はいずれも記載時点のものです。制度や日程は変更されるため、受験や応募の前に各実施機関・公的窓口の最新情報をご確認ください。
参考・出典
- 公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」(令和4年6月公表)。下請事業者が担当する工程=開発56.6%/設計20.6%/運用5.9%/提案・要件定義5.5%/システムインテグレーション5.4%/テスト1.3%(法人向けアンケート n=2,589、1つ選択) https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jun/220629_sw_03.pdf
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第5-1表「産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」〔概況10ページ「(5)産業別にみた賃金」〕。情報通信業(産業別)の所定内給与(月額・一般労働者・男女計、2025年6月分)=30〜34歳36万3,400円/40〜44歳45万6,800円/45〜49歳49万1,700円/50〜54歳49万1,300円/55〜59歳51万6,300円 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/dl/14.pdf
- 前掲・令和7年賃金構造基本統計調査の概況「(2)性別にみた賃金」第2表「性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び年齢階級間賃金格差」〔概況7ページ〕。産業計(全産業・男女計)=40〜44歳36万4,300円/55〜59歳39万6,200円。情報通信業(産業別)とは別系列のため、1つのカーブとして接続しない
- 厚生労働省 job tag(職業情報提供サイト)各職業詳細ページ。職種別有効求人倍率(令和6年度)=プログラマー0.94/受託開発SE・Webサービス開発SE 2.57/組込み・IoT系SE 4.77/基盤システムSE 2.28/ITプロジェクトマネージャ2.1。スキルレベル別年収レンジ(第一四分位〜第三四分位)=設計・構築区分 レベル1〜2 420万〜620万円/レベル3 450万〜700万円/レベル4 500万〜780万円/レベル5以上 600万〜950万円、プロジェクトマネージャ区分 レベル3 600万〜925万円/レベル4 675万〜950万円/レベル5以上 700万〜1,100万円 https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/313
- 系列に関する注記:スキルレベル別年収レンジと在職者平均年収(開発系578.5万円・上流区分889万円)は、同じjob tag内でも別系列であり、集計方法は掲載元が明示していない。本記事では両者を接続せず、在職者平均年収は本文で使用していない
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「試験区分一覧」。情報処理技術者試験の区分と、情報処理安全確保支援士試験の位置づけ(2026年8月16日に編集部が原文で確認) https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/list.html
- IPA「応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験がCBT方式での実施に移行予定」(2025年8月12日発表)。2026年度開催分からペーパー方式からCBT方式へ移行/「各試験区分で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません。また、出題形式(多肢選択式・記述式・論述式)、出題数及び試験時間も同様に変更はありません」(2026年8月16日に編集部が原文で確認) https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20250812.html
- IPA「2026年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の実施予定について」(公開2026年2月24日・最終更新2026年7月6日)。前期試験2026年11月頃(AP・ST・SA・NW・SM・SC)/後期試験2027年2月頃(AP・PM・DB・ES・AU・SC)、いずれもCBT方式(2026年8月16日に編集部が原文で確認) https://www.ipa.go.jp/shiken/2026/ap_koudo_sc_yotei.html
- e-Gov法令検索「情報処理の促進に関する法律」(昭和45年法律第90号)。名称の使用制限=24条/登録=12条1項/3年ごとの更新=12条2項/罰則(30万円以下の罰金)=78条1項2号 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000090
- 総務省「令和8年版情報通信白書」(2025年度調査)。コード生成AIの利用率 日本7.0%/米国35.4%、「社内システム開発・運用」でのAI活用 日本50.4%/米国88.7%、「生成AI活用に必要なスキルやノウハウを学ぶ環境がある」日本企業39.9%/米国62.7%
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」。情報通信業の新規求人は2025年8月以降8か月連続で前年割れ、令和8年3月は前年同月比▲15.8%(情報サービス業▲17.1%) https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001695527.pdf
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」(平成31年4月)。2030年のIT人材不足=低位約16万人/中位約45万人/高位約79万人。79万人は高位シナリオの値であり、2019年公表の試算 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
