SES

SESとは?仕組み・商流・カネの流れを公的データで解説

SESとは?仕組みからわかる。商流・契約・カネの流れ。
テックスカウト編集部

SESとは、システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)の略で、エンジニアの「労働力」を顧客企業に提供する契約・業態のことです。契約形態は準委任が一般的で、客先常駐で働くケースが多くを占めます。

この記事は、SESの定義や派遣との違いといった基本だけでなく、多重下請の商流と、単価がどこで削られて給与になるかというカネの流れまで、公正取引委員会の調査実数で解説します。SES企業で働いて10年以上、40歳が見えてきたのに年収が頭打ち——その原因は、あなたの能力ではなく商流の構造にある場合が多い、というのが編集部の結論です。仕組みを知ることが、抜け出すか・とどまるかを自分で決めるための第一歩になります。

SESとは?労働力を提供する準委任契約のサービス

SESとは、クライアント企業にエンジニアの技術力・労働力を提供するサービスで、契約形態は準委任、働き方は客先常駐型が多いのが特徴です。公正取引委員会も、SESを「技術者を派遣しシステム開発・インフラ環境構築等を行うサービスを提供する契約。準委任契約、常駐型が多い」と説明しています(出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」2022年6月)。

押さえるべきポイントは3つです。

  • 報酬は「成果物」ではなく「労働時間」に対して支払われる(人月単価)。システムが完成しなくても、働いた時間分の対価が発生する
  • 雇用主はSES企業。給与・社会保険・評価はSES企業が持ち、常駐先(クライアント)はエンジニアの雇用主ではない
  • 常駐先はエンジニアに直接指揮命令できない。業務の指示はSES企業側の責任者を通すのが原則(ここが崩れると偽装請負の問題になる。後述)

この記事では、SESを次の順で解剖していきます。①契約の仕組み、②SIer・客先常駐との関係、③商流と多重下請構造、④単価と給与のカネの流れ、⑤メリット・デメリット、⑥企業の見分け方、⑦次の一手。読みたい項目だけ拾い読みしても分かるように書いています。

SESの三者関係図(契約・雇用・労働提供の流れ)

SES契約の仕組み:準委任・請負・派遣の違い

SES契約を理解する近道は、請負・派遣と並べて「何に対してお金が払われるか」「誰が指揮命令するか」を見ることです。

項目SES(準委任)請負派遣
対価の対象労働の提供(時間)成果物の完成労働の提供(時間)
完成責任負わない負う負わない
指揮命令所属するSES企業請負会社派遣先企業
適用される主な法律民法(準委任)民法(請負)労働者派遣法
事業に必要な許可特別な許可は不要不要厚生労働大臣の許可(労働者派遣法5条1項)

この表は3つの契約の骨格です。実際の現場では、会社間の基本契約・個別契約と、自社との労働契約が重なって1人のエンジニアの条件が決まります。責任の範囲・損害賠償・再委託といった条項が実務でどう効くかはSES契約の責任範囲と損害賠償条項の読み方で分解しています。

SESと派遣を分けるのは「指揮命令権」

SESと派遣は、客先で働く見た目がほぼ同じため混同されがちですが、法律上の扱いは別物です。派遣は派遣先が堂々と指揮命令できるのに対し、SES(準委任)では常駐先はエンジニアに直接指示できません。指揮命令権がどちらにあるかは、適用される法律が労働者派遣法か民法かという違いと表裏の関係にあります。

働く側から見た実務的な違いは「守られ方」です。派遣には厚生労働大臣の許可制(労働者派遣法5条1項)やマージン率等の情報提供義務(同法23条5項・施行規則18条の2)があります。SESは民法上の契約のため、同種の公開義務はありません。

派遣法には、このほかにも同じ事業所での受入れを原則3年までとする期間制限(同法40条の2第1項・第2項)など、派遣で働く人を保護する規定が置かれています。どちらが良い・悪いではなく、SESは「仕組みの透明性を自分で確認しに行く必要がある働き方」だと編集部は考えます(確認手順は後述の「SES企業の見分け方」へ)。

条文単位の比較はSESと派遣の違いを派遣法の条文で比較にまとめています。

偽装請負:SESが「違法」になる境界線

SES自体は適法な契約形態です。違法になるのは、契約書は準委任なのに、実態として常駐先がエンジニアに直接指揮命令している場合で、これを偽装請負と呼びます。労働者派遣か請負・準委任かは、契約書の名前ではなく実態で判断されます(区分基準:昭和61年労働省告示第37号)。

「常駐先の社員から直接作業指示を受けている」「勤怠を常駐先が管理している」といった状態は、この基準に照らして問題になり得ます。心当たりがある場合、個別の違法性の判断は都道府県労働局に相談するのが確実です。※本セクションは一般的な制度の説明であり、個別の状況は労働局・専門家に確認してください。

この節は境界線の概説です。何が違法とされるのか・誰が判断するのか・どこへ相談するのかを条文と行政の解釈まで下ろしたものは、偽装請負という語を条文の側から定義し直した記事にあります。

SESとSIer・客先常駐はどう違う?用語の整理

3つの用語は「軸」が違います。SIerは会社の業態、SESは契約形態、客先常駐は働き方を指す言葉で、比較対象ではなく組み合わせで使われます。

  • SIer(エスアイヤー):システム開発を請け負う事業者の総称。元請の大手SIerから中小の下請開発会社までを含む
  • SES:上で見た契約形態。SIerが人手を集める手段としてSES契約を使う
  • 客先常駐:自社ではなく顧客のオフィスで働く勤務形態。SES・派遣・請負のいずれでも起こる

常駐という働き方そのもの——契約や勤務地、キャリアへの影響——は常駐という働き方の総論で詳しく扱っています。

つまり「二次請けの会社からSES契約で大手SIerの現場に常駐する」のように、3つは1人のエンジニアの上に同時に成立します。「SESかSIerか」という二択で悩むより、自分の会社が商流のどの位置にいるかを見るほうが、待遇の実態をよく説明できるというのが編集部の立場です。その商流を次で解剖します。

SESの商流と多重下請構造:公取委の実数で見る

SESの働き方・待遇を決める最大の変数は商流(何次請けか)です。公正取引委員会が2022年に公表したソフトウェア業の実態調査(資本金3億円以下の4,739社が回答)が、この構造を実数で示しています。

調査項目(受注側の回答)数値
取引上の位置付け元請40.4%/中間下請38.2%/最終下請21.3%
資本金1,000万円以下の割合全体54.5%に対し最終下請は68.6%
下請取引への依存度90%以上最終下請の44.6%
取引先(発注元)が1社のみ最終下請の19.2%
不必要な「中抜き」事業者の存在を感じた中間下請29.2%・最終下請33.5%

(出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」2022年6月29日公表。割合はいずれも「受注者側がそう回答した」数値です)

なお本記事の引用数値は、編集部がこの報告書を要約記事経由ではなく本体PDFで実読し、原文の図表と照合して整備している数値記録から転記しています(2026年8月時点)。

自由回答には「6次下請の末端技術者として参加したことがある」「エンジニアの準委任契約(SES)では最大5社が中間に入るケースがある」という実例も記録されています。下の階層ほど会社は零細になり、特定の発注元に依存し、商流に「何もしない会社」が挟まる——これが公的調査で裏づけられたSES業界の構造です。

さらに公取委は、下請法違反相当の行為を「受けた」経験も報告しています。割合は買いたたき15.7%・不当な給付内容の変更14.2%・代金減額13.5%です。この設問は受注側が「受けた」経験を答えたものなので、「15.7%の企業が買いたたきをしている」のように加害側の割合として読むのは誤りです。加えて令和3年度の下請法措置件数では、情報サービス業が686件と全業種でトップでした。

問題は「SESという契約」ではなく「深すぎる商流」に集中しているというのが、この調査から編集部が読み取る結論です。

ただし、この調査は取引上の位置付けを元請・中間下請・最終下請の3区分で聞いたもので、商流が実際に何次請けまで積み重なっているかは数えていません。階層の数を集計した公的データが見当たらないことと、貨物自動車運送事業法・建設業法には階層を数える法定の仕組みがあることの対照は何次請けまであるのかを実数で確かめるで扱っています。

経路の深さを数えたあとに、その経路を変えられないかと考える人もいます。あいだの会社を通さずに直接契約しようとするとき、実際に動くのは誰と誰の約束なのかは経路そのものを変えようとしたときに何が動くのかで分けて扱っています。

SES業界の多重下請構造と公正取引委員会調査の実数

カネの流れ:単価はどこで削られて給与になるか

エンジニア1人の労働は「人月単価」として発注元から支払われ、商流を下るたびに各社の取り分が引かれて、最後に残った金額からあなたの給与が出ます。公取委は同じ報告書で「多重下請構造下では再委託の都度、中間マージン等が差し引かれるため、下層に行くほど受注金額が低くならざるを得ない」と明記しています(出典:同報告書・2022年6月)。

つまり、同じスキル・同じ作業でも、3次請けの単価は元請の単価より構造的に低いのです。あなたの給与が上がらない理由を「スキル不足」だけで説明する前に、単価の出発点がいくらで、間に何社入っているかを疑う必要があります。単価の相場水準と、単価が給与になるまでの分解はSESの単価相場と単価・給与の構造で公的データを使って解説しています。なお「還元率◯%」を掲げる高還元SESという業態もありますが、還元率の分母(単価に何を含めるか)の定義が会社ごとに異なるため、率の数字だけでの比較は勧めません。

率そのものではなく、分母から何が抜かれているかを聞けば会社ごとの差は具体的になります。その確かめ方は還元率の分母を検算する5つの質問にまとめました。

年収の相場は公的データで確認できます(いずれも時点明記)。

  • 開発系職種(プログラマー・SE等)の平均年収578.5万円・平均年齢37.1歳(厚生労働省job tag。令和7年賃金構造基本統計調査ベース。job tag上の開発系9職業は同一の統計区分を共有するため職業間の差はこの数値では示せません。職業数は2026年9月1日に編集部が確認)
  • 上流のIT職(基盤システムSE・ITプロジェクトマネージャ等)は平均889万円・38.3歳(同job tag)
  • 情報通信業(産業別)の所定内給与(月・一般労働者・男女計)は40〜44歳で45万6,800円、45〜49歳49万1,700円、50〜54歳49万1,300円と50代前半でいったん横ばい〜微減を挟み、ピークは55〜59歳の51万6,300円です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」「(5)産業別にみた賃金」第5-1表「産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」〔概況10ページ〕・2025年6月分)
    • この数字は情報通信業の系列です。全産業計(男女計)は40〜44歳36万4,300円→ピーク55〜59歳39万6,200円(同調査)で、系列が違えば水準も違います。両者を混ぜて読まないでください

たとえば41歳・二次請けSESで年収490万円なら、開発系平均578.5万円を約90万円下回ります(編集部算出)。情報通信業(産業別)の賃金カーブは、40代でも上がり、50代前半でいったん横ばい〜微減を挟んだうえで55〜59歳のピークに達します。それに対し商流の下層では単価が頭打ちのため給与も止まる——「産業の水準は上がるのに自分は上がらない」という乖離こそ、40歳前後のSESエンジニアが感じる行き詰まりの正体だと編集部は考えます。

情報通信業の年齢階級別賃金カーブ(令和7年賃金構造基本統計調査の概況)

SESで働くメリット・デメリット:40歳からの視点で

SESには合理的な利点があります。全否定する議論に編集部は与しません。

メリット

  • 未経験・経験浅めでも入り口が広い(教育コストを案件で回収するモデルのため)
  • 現場を変えながら多様な環境・技術に触れられる
  • 労働時間に対して対価が出る契約のため、請負のような「完成までの無限責任」を個人が負わされにくい

デメリット

  • 案件は選べないことが多く、経験が「点」のまま積み上がりにくい
  • 商流の下層では単価=給与の天井が低い(前セクションのとおり)
  • 評価者(自社)と仕事ぶりを見ている人(常駐先)が分離し、昇給・昇格に実績が反映されにくい

デメリットの1つ目は、公取委の調査で数字の裏づけがあります。下請事業者が主に担当する工程は開発(プログラミング)が56.6%、設計が20.6%である一方、ユーザーへの提案・要件定義はわずか5.5%でした(出典:同報告書・2022年6月)。「上流もマネジメントも未経験のまま40歳になった」のは本人の怠慢ではなく、下請の現場には上流工程がそもそも回ってこないという構造の帰結です。だからこそ、40歳からの巻き返しは「今の現場でがんばる」だけでは起きにくく、商流を上る・所属を変えるという構造側の一手が必要になります。

案件が選べないという実感は、常駐先との面談で見送りが続く場面で最も強く出ます。見送りの割合を示す公的統計は編集部が確認した範囲では見当たらないため、案件面談の見送りが続くときに何を疑うかでは代わりに使える指標と、原因を職種区分・需給・商流の位置に切り分ける手順を示しています。

見送り以前に、面談という手続きそのものが負担だという声もあります。この手続きが誰のための何の確認なのか、面談に出ている時間が自社側でどう扱われるのかは面談という手続きが誰のためにあるのかで扱っています。

ネット上で語られる「SESはやめとけ」という批判も、その中身はほぼこの2点——商流下層での単価の天井と、上流経験が積めない配分——に集約されます。言われている理由を1つずつ公的データで検証し、40歳前後で辞める準備を始めるべき人・残ってよい人を軸別に線引きしたものがSESやめとけと言われる理由の検証です。

SES企業の見分け方:商流とカネの透明性で選ぶ

SES企業を見分ける軸は、知名度でも案件数の宣伝文句でもなく、商流の浅さとカネの透明性です。編集部が確認をすすめるポイントを挙げます。

  1. 商流の位置を直接聞く——「この案件は何次請けですか」「エンド(発注元)と元請はどこですか」。面談で答えられない・答えない会社は、中抜きの分だけ単価が薄い可能性を織り込んで判断する
  2. 単価と給与の関係を聞く——単価を開示しているか、昇給の根拠は何か
  3. 許可・届出を公的サイトで確認する——労働者派遣事業(派遣法5条1項)・有料職業紹介事業(職業安定法30条1項)は厚生労働大臣の許可制。会社が「派遣もやっている」なら、厚生労働省の人材サービス総合サイト(jinzai.hellowork.mhlw.go.jp)で許可番号と、派遣法23条5項に基づき公開されるマージン率を検索して確認できる
  4. 数値の危険信号を見る——一年中同じ求人が出続けていないか、みなし残業を多く含んだ給与表示でないか、副業禁止か

この4点は入社前だけでなく、いま所属している会社の再評価にも使えます。3年単価が上がっていないなら、まず営業担当に「自分の単価と商流」を聞いてみてください。答えの歯切れの悪さ自体が、判断材料になります。

聞いても答えが返ってこなかったときは、手元の書面と公開情報だけで位置を1段ずつ確定させる方法があります。何を見れば何が読み取れて、どこから先は読み取れないのかは書面の宛名から自分の位置を1段ずつ確定させる記事に整理しました。

聞く相手である営業担当が、会社の中でどこまでを持ち場にしているのかを先に知っておくと、質問の立て方が変わります。営業が握っている取引を4つに分け、エンジニアの側から確かめられることまで整理したのが自社の営業が持ち場にしている取引の分解です。

4点をどの資料で裏取りするかまで含めた手順は、クラスター記事の側に置いています。マージン率と求人票の法定記載事項の確かめ方を6手順にして、公的名簿の引き方から面談で聞く質問までを通しで示しました。

聞く相手を探す前に、会社が国に届け出た言葉のほうを先に読む道もあります。事業の目的や公告の方法が登記でどこまで公になっていて、儲けの数字がどこから先は公にならないのかは会社が国に届け出た言葉から事業を読む記事にまとめました。

40歳前後のSESエンジニアが次に取る行動

SESの仕組みを理解したうえで、編集部が勧める順番は「測る→選ぶ」です。今日転職を決める必要はありません。

  1. 自分の値札(市場価値)を実測する——スカウトサービスに職務経歴を置き、どんな単価・ポジションの声がかかるかを定点観測する。転職の意思が固まっていなくても、測ること自体に意味がある
  2. 商流と業界を選び直す視点を持つ——同じ開発職でも、商流を上る(元請・ユーザー企業側へ)か、単価の高い領域に置き直すかで賃金カーブは変わる。上流IT職の平均889万円と開発系578.5万円の差(前掲job tag)は、その値差の目安になる
  3. 在職中に動く——生活費と住宅ローンを抱えて退職後に焦って決めるのが、最も条件を崩しやすいパターンだと編集部は考えます

すでに「辞めたい」という気持ちが先に立っている場合は、順番を整えるところから始めてください。辞めるべきかの判断基準、辞める前の5ステップ、退職の法律ルール(民法627条1項・労働基準法16条)は、SESを辞めたいときの判断基準と辞める前の5ステップに条文つきで整理しています。

なお、40〜44歳男性の転職入職率は6.8%と、25〜29歳男性(15.1%)の半分以下です(厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」2024年・全産業)。動く人が少ない年代だからこそ、値札を実測して動ける準備がある人は相対的に目立ちます。

また、情報処理・通信技術者のハローワーク経由の就職は、有効求人50,307人に対し就職件数461件(2026年3月分・編集部算出で約0.9%)にとどまります(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年3月分・参考統計表7-1)。一方、エージェント(有料職業紹介)経由の常用就職は、同じ職業区分で令和6年度の1年間に66,662件ありました(厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」2026年3月31日公表。内訳はソフトウェア開発39,780件・同を除く26,882件で、合計は編集部の算出)。

経験者の採用がハローワークの外側で動いていることは、実数で言えます。ただし外側の中身をスカウト・エージェントに限る根拠はなく、スカウトサービス経由だけの独立集計は編集部が確認した範囲では見当たりません。実際に動き出すときに何をどの順で確かめるのかは、出る前に何を数字で持っておくかを段取りにした記事にまとめています。

会社を離れて自分で契約を結ぶ側に回ることを考えているなら、そこで何が外れて何が条件つきで残るのかを先に見てください。条文の名宛人と期間の条件で並べ直したものが発注を受ける側に回ると外れる保護の一覧にあります。

よくある質問

SESとは何の略ですか?どういう意味ですか?

System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略で、エンジニアの労働力・技術力を顧客企業に提供するサービスを指します。契約形態としては準委任が一般的で、報酬は成果物ではなく労働の提供(時間)に対して支払われます。

なぜ「SESはやめとけ」と言われるのですか?

SESという契約そのものではなく、多重下請の下層に固定されたときの待遇が批判の実体だと編集部は考えます。公取委の調査(2022年)では、最終下請の68.6%が資本金1,000万円以下、33.5%が商流内の不要な「中抜き」を実感しており、下層ほど単価・経験の両面で不利になる構造が確認できます。「やめとけ」かどうかは、SESか否かではなく所属する会社の商流の位置で判断すべき、が当サイトの立場です。言われている理由を一つひとつ公的データで検証し、40歳前後で辞める準備を始めるべき人・残ってよい人を軸別に言い切った記事がSESやめとけは本当か?40歳からの判断軸を公的データで検証です。

SESとSIerの違いは何ですか?

SESは「契約形態」、SIerは「システム開発を請け負う会社(業態)」で、軸が異なります。SIerが開発体制を組むためにSES契約で人手を集める、という関係で両者は同じ現場に共存します。自社がどちら寄りの会社なのかを確かめたい場合は、自社がどちらの受注の形かを見分ける3つの問いが使えます。

SESと派遣はどっちがいいですか?

単価・商流の透明性を会社に直接確認できるならSES、マージン率の公開義務(派遣法23条5項)など法の保護の仕組みを優先するなら派遣、が編集部の判断軸です。派遣は派遣先が指揮命令できるのに対し、SES(準委任)は常駐先に指揮命令権がなく、公開義務もありません。指揮命令の実態が派遣と同じなのに契約だけ準委任なら、それは偽装請負の問題であり「どっちがいいか」以前の状態です。軸別の結論はSESと派遣の違いと「どっちがいい」の判断軸で整理しています。

SESの年収はいくらですか?

公的データでは、開発系職種(プログラマー・SE等)の平均年収は578.5万円です(厚生労働省job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース)。ただしこれは商流の上下を含んだ平均で、下層ほど単価構造上、平均を下回りやすくなります。上流IT職(基盤SE・PM等)の平均は889万円(同)で、キャリアの置き場所による値差が大きい職種です。

年収そのものがどう決まるのかは、単価ではなく雇用契約で決まる年収の仕組みで扱っています。単価と年収は別の当事者どうしの金額なので、この記事では逆算の式を使っていません。

案件が決まらずに現場から離れている月については、支払われる額が何を土台に計算されるのかを稼働のない月の額がどの式から出てくるかを開いた記事で扱っています。労働基準法12条の算定式と24条1項の全額払いを原文で引き、給与明細・賃金規程・労働条件通知書の3枚で自分の額をたどる手順にしました。

SES契約で一人常駐は違法ですか?

常駐の人数だけを理由に違法とする法令はありません。問題になるのは人数ではなく指揮命令の実態で、常駐先から直接指示を受けて働いている場合は偽装請負(区分基準:昭和61年労働省告示第37号)の疑いが生じます。一人常駐は自社の管理が届きにくく、この状態に陥りやすい形態ではあるため、指示系統がどうなっているかを確認してください。個別の判断は都道府県労働局に相談できます。

SESは何年で辞める人が多いですか?離職率は?

「SES業態だけ」の離職率を示す公的統計は、編集部が確認した範囲では見当たりません。参考値として、SESを含む情報通信業(産業全体)の離職率は10.2%で、産業計の14.2%より低い水準です(前掲・令和6年雇用動向調査結果の概況・2024年)。ただしこれは大手も含む情報通信業全体の平均で、非正規比率が低い産業は離職率が低く出やすいという構成差も含んだ数字です。商流下層の実態を直接示すものではない点に注意してください。

まとめ:SESは「構造」で理解すれば怖くない

  • SESとは、準委任契約でエンジニアの労働力を提供するサービス。契約自体は適法で、違法になるのは指揮命令の実態が伴う偽装請負
  • 待遇を決める最大の変数は商流。下層ほど零細・依存・中抜きが増えることは公取委の実数(2022年)が裏づけている
  • 単価は再委託のたびに削られる。給与の頭打ちはスキル不足より先に商流を疑う
  • 下請の現場には要件定義が5.5%しか回ってこない。上流経験の不足は個人の怠慢ではなく構造
  • 次の一手は「測る」から。転職を決めていなくても、自分の値札を実測して、商流を上る・置き場所を変える選択肢を手元に増やしておく

編集部は、SESを「やめとけ」とも「安心」とも一括りにしません。構造を知った人から順に、SESを使い倒す側に回れる——それがこの記事の結論です。


訂正履歴

  • 2026年9月1日|「カネの流れ:単価はどこで削られて給与になるか」の節:job tagで同一の統計区分を共有している開発系の職業を「6職業」と書いていましたが、2026年9月1日に編集部が各職業ページを確認したところ9職業でした。職業数を9に改めました(平均年収578.5万円・平均年齢37.1歳の数値は変わっていません)。
  • 2026年8月23日|「次の一手」の節:「IT転職の実勢はスカウト・エージェント経由が主戦場というのが、公的統計から読み取れる現実です」と書いていましたが、この記述を取り下げました。公的統計の実数で言えるのは、経験者の採用がハローワークの外側で動いていることまでです。エージェント経由の常用就職件数を新たに示したうえで、外側の中身をスカウト・エージェントに限る根拠がないこと、スカウトサービス経由だけの独立集計は編集部が確認した範囲では見当たらないことを明記する形に改めました。
  • 2026年8月23日|「案件が選べないという実感は〜」の段落、および「SESは何年で辞める人が多いですか?離職率は?」:「公的統計は存在しません」という断定2箇所を、「編集部が確認した範囲では見当たりません」に改めました。統計が存在しないことは証明できないためです。

参考・出典

ABOUT ME
記事URLをコピーしました