40代エンジニアのキャリア

エンジニア40代は手遅れか|市場価値の実測から始める生存戦略

40代エンジニア現在地から考える。市場価値を測る、生存戦略。
テックスカウト編集部

「40代のSESは切られる」「単価がもう3年上がっていない」——客先常駐の現場でそんな不安を抱えたまま、職務経歴書を開いては閉じていないでしょうか。先に結論を書きます。開発系職種の平均年齢は37.1歳です(厚生労働省job tag・令和7年賃金構造基本統計調査ベース)。情報通信業の一般労働者(フルタイム)の平均年齢は40.2歳です(同調査・2025年6月分)。

エンジニアの中心は、もう40歳前後です。手遅れどころか、あなたは市場のボリュームゾーンにいます。問題は年齢ではなく、自分の値札(市場価値)を一度も実測しないまま、下層の商流に置かれ続けていることのほうです。

この記事では、40代エンジニアの現在地を公的データで確認します。そのうえで、値札の測り方から、値札が動く一手——商流を上る・業界を選び直す・積み方を変える——まで、必要な論点をすべて扱います。

結論:40代エンジニアは手遅れではない。ただし「頭打ち」は放置すると構造で固定される

最初に全体の結論です。40代エンジニアの「詰み」の正体は、「産業別に見た情報通信業の賃金は50代後半のピークまで伸びるのに、商流下層の自分だけ頭打ちになる」という乖離にあります。年齢の問題ではないのだから、打ち手も「若返る」ことではなく、構造から抜けることになります。

編集部が勧める工程は次の5つです。本記事はこの順で解説します。

  1. 決める——年収・時間・場所・心の平穏のうち、何を最重要視するかを先に決める
  2. 測る——自分の値札を想像ではなく実測する(公的相場+スカウト+エージェント面談+求人票)
  3. 置く——値札は「どこに身を置くか」で動く。商流を上る/業界を選び直す
  4. 積む——値札が動くものだけを積む(上流経験・マネジメント・需給の偏った旬スキル)
  5. 換える——値札を、決めた軸(年収・時間・場所)に交換する。転職はその一部にすぎない
40代エンジニアの生存戦略5工程(決める・測る・置く・積む・換える)の流れ図

今日転職する必要はありません。ただし「測る」だけは今日から始められますし、転職しない場合でも社内交渉の材料になります。順に見ていきましょう。

40代エンジニアの現在地をデータで確認する

このセクションの要点は3つです。

  1. エンジニアの中心はもう40歳前後
  2. 産業別に見た情報通信業の賃金は、50代前半に横ばい〜微減を挟みつつ50代後半のピークまで伸びる
  3. それでも頭打ちに感じるのは商流の構造

この3点がわかると、「40代だからダメなのか」という漠然とした不安は、対処可能な構造の問題に変わります。

エンジニアの中心はもう40歳前後

プログラマー・システムエンジニア(受託開発・Webサービス開発・組込み)など開発系9職業の在職者データは、平均年齢37.1歳・平均年収578.5万円です。出典は厚生労働省job tag(在職者データは令和7年賃金構造基本統計調査ベース。2026年9月1日に編集部が確認)。9職業は同一の調査区分に基づくため、いずれも同じ値になります。

産業側で見ても、情報通信業の一般労働者の平均年齢は40.2歳(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」・2025年6月分)。「エンジニア=20代の仕事」というイメージと違い、統計上の中心はあなたと同じ40歳前後の層です。35歳が限界なら、平均年齢がこの位置に来ることはありません。

年齢と並んでよく持ち出される物差しに、在籍年数があります。ただし賃金構造基本統計調査が定義する勤続年数は「その企業に雇い入れられてから」の年数で、エンジニアとしての通算の経験年数とは別のものです。この2つのズレと、在籍年数を使ってよい場面は在籍年数が転職の判断材料になるのかの検証で分解しました。

情報通信業(産業別)の賃金は55〜59歳がピーク——50代前半に横ばいを挟む

産業別に見た情報通信業の年齢階級別の所定内給与(月額)は次のとおりです。全産業計ではなく、産業大分類「情報通信業」の系列である点に注意してください。

年齢階級所定内給与(情報通信業・一般労働者・男女計)
30〜34歳36万3,400円
40〜44歳45万6,800円
45〜49歳49万1,700円
50〜54歳49万1,300円
55〜59歳51万6,300円(ピーク)

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」「(5)産業別にみた賃金」第5-1表「産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」〔概況10ページ〕(産業大分類×年齢階級別。一般労働者・男女計、数値は2025年6月分)。上表は産業別に見た情報通信業の系列であり、全産業計(産業計)の数値ではありません。

参考として、同じ表の産業計(全産業・男女計)は40〜44歳36万4,300円、ピークの55〜59歳39万6,200円です。以下、本記事で「情報通信業」と書く数値はすべて産業別の系列を指します。

40〜44歳の45万6,800円を単純に12倍すると、年548万円です(編集部算出。賞与を含まない所定内のみ)。ただしこのカーブは単調な右肩上がりではありません。

45〜49歳49万1,700円から50〜54歳は49万1,300円へわずかに下がり、そこから55〜59歳51万6,300円のピークに向かいます。つまり50代前半でいったん横ばい〜微減を挟む形です。

この賃金の形は、45〜49歳と50〜54歳がほぼ同じ水準で並ぶところまで続きます。その先の区間で何が変わるのかは45〜49歳の次の階級から先を確かめた記事に置きました。

それでも、40〜44歳の水準はまだ上り坂の途中にあたります。年収490万円前後で「もう上がらない」と感じているなら、情報通信業(産業別)の水準から乖離しているということ。疑うべきは自分の能力ではなく、いま所属している場所です。

情報通信業の年齢階級別賃金カーブ(50代前半に横ばいを挟み55〜59歳がピーク)

それでも頭打ちなのは、商流の構造

産業の水準は上がるのに自分は上がらない——この乖離の説明は、公正取引委員会の実態調査(2022年6月29日公表)にあります。同報告書は多重下請構造について、次のように記述しています。「多重下請構造下では再委託の都度、中間マージン等が差し引かれるため、下層に行くほど受注金額が低くならざるを得ない」。あなたの単価が3年上がらないのは、技術が3年進歩していないからではなく、単価の原資が商流の上で削られてから届くためです。

同じ調査は、キャリアの頭打ちも数字で裏づけています。

  • 下請事業者が担当する工程は開発(プログラミング)56.6%に対し、要件定義はわずか5.5%
  • 最終下請の68.6%が資本金1,000万円以下の零細企業
  • 「実際には業務をしない中抜き事業者の存在を感じる」は中間下請29.2%・最終下請33.5%

出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」(2022年6月29日)

つまり「40歳になったのに要件定義もマネジメントも未経験」は、あなたの怠慢ではなく、下層の商流では上流工程が構造的に回ってこないという配置の問題です。これは反省ではなく、移動で解決する種類の問題です。

この配置のまま「切られる」側に回ったときに何が起きるのかは、SESの40代がクビになる仕組みで条文まで分解しています。契約終了・待機・解雇の3階層に分けて解説した記事です。常駐先との契約が終わること(準委任契約の解除)と自社を解雇されること(労働契約法16条)は別の出来事であり、混同したまま不安を抱える読者が多い論点です。

切られる前に、辞めてほしいと言われる形で話が来ることもあります。その申し出に応じた場合、離職理由が雇用保険の上でどちらに置かれるのかと、それを決めるのが誰なのかは辞めるよう勧められた場合に離職理由を決めるのは誰かで条文までたどりました。

求人は減少局面。だからこそ順番は「測る」が先

需給の現在地も正直に書きます。ハローワーク統計での「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は、2025年3月の1.61倍から2026年3月に1.39倍へ低下しました。内訳は求人▲9.2%・求職者+5.0%で、同月の全職業計は1.10倍です。産業側でも情報通信業の新規求人は2025年8月以降、8か月連続で前年割れです(いずれも厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年3月分)。

2点、注意があります。第1に、この区分はプログラマー・SEに加えてITコンサル・PM・インフラ系も合算した数値です。第2に、同月のハローワーク経由の就職件数は461件で、有効求人50,307人に対して約0.9%(編集部算出。月間の就職件数フローを求人ストックで割った参考比率で、厳密な充足率ではありません)。

経験者の採用がハローワークの外側で動いていることは、実数で言えます。エージェント(有料職業紹介)経由の常用就職は、同じ職業区分で令和6年度の1年間に66,662件ありました(厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」2026年3月31日公表。内訳はソフトウェア開発39,780件・同を除く26,882件で、合計は編集部の算出)。

ただし、その外側の中身をスカウトとエージェントに限る根拠はありません。転職活動で使われた方法として最も多いのは求人サイト・求人情報専門誌等の39.4%です(厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」個人調査 表17・2021年11月8日公表・複数回答・全産業)。

スカウトサービス経由だけを独立して集計した公的統計は、編集部が確認した範囲では見当たりません。それでも編集部がスカウトを勧めるのは、経路として最大かどうかではなく、働きながら無料で値札を測れるからです。求人が細る局面ほど、雰囲気ではなく自分の値札を実測してから動く順番が効いてきます。

「35歳定年説」「40代エンジニアは使えない」は本当か

編集部は、どちらも事実として支持できる統計を確認できていません。むしろ在職者の平均年齢37.1歳という一次データは「35歳定年」と真っ向から矛盾します。限界があるのは年齢ではなく、40歳まで値札を一度も測ってこなかったことのほうだ、というのが当サイトの立場です。検証の全手順と一次データはエンジニア35歳定年説は本当かで扱っています。

ただし、次の事実は認める必要があります。年齢階級別の転職入職率(全産業・2024年・厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」)は、男性で25〜29歳15.1%に対し、35〜39歳7.9%、40〜44歳6.8%。40代は「転職できない」のではなく、実際に動く人が20代後半の半分以下に減る年代です。動く人が少ないから成功例も耳に入らず、「40代は無理」という空気だけが再生産されます。

「40代は使えない」という採用側の声についても、裏づけとなる公的統計は、編集部が確認した範囲では見当たりません。確認した範囲は、政府統計の総合窓口e-Statと、厚生労働省・経済産業省・総務省が公表する統計です(2026年8月時点)。この範囲の外に該当する調査がある可能性は残ります。

動いた結果として何が悪くなるのかも、型に分けて数えられます。労働時間・年収の決まり方・入った後の担当工程・決まる前に辞めたときの空白という4つの型は移った後に条件が悪くなる4つの型で分解しました。

そのうえで、採用側が実際に見ているのは経験の言語化・成果の再現性・技術を更新した証拠の3点だと編集部はみています。この評価基準の中身は「40代エンジニアは使えない」の正体を採用側の3基準から解説した記事で詳しく扱っています。採用の現場が見ているのは生年月日ではなくスキルの需給です。

同じ年代について語られる「40代の転職は惨め」という言い方も、能力の当否ではなく別の場所から生まれます。惨めさが求人要件・書類選考・年収提示・応募の母集団という転職市場側の4つの場所で機械的に発生する仕組みは40代の転職が惨めに見える4つの場所で分解しました。

逆に言えば、下層商流で開発工程だけを続けた経歴のままでは、45歳でも50歳でも同じ評価が続きます。年齢を言い訳にも免罪符にもせず、次のセクションから値札を動かす実務に入ります。

40代エンジニアの市場価値は想像ではなく実測する(測る)

転職する気がなくても、値札だけは測っておく——これが当サイトの定番の第一歩です。相場を見ずに持ち家の売却を悩む人がいないのと同じで、値札を知らないまま現職に不満を持つのも感謝するのも、判断の土台がありません。

測り方は4つ:公的相場・スカウト・エージェント面談・求人票

  1. 公的相場で座標を知る(下表)
  2. スカウトサービスに職務経歴を置き、届くオファーで定点観測する
  3. エージェント面談で「今の自分にいくらの求人を紹介できるか」を聞く
  4. 求人票の要件と自分の経歴の差分を数える

公的相場の座標には、厚生労働省job tagのITSSレベル別年収(第一四分位〜第三四分位)が使えます。

スキルレベル(ITSS)年収レンジ(プログラマー・設計構築区分)
レベル1〜2(基本情報レベルの目安)420万〜620万円
レベル3(応用情報レベルの目安)450万〜700万円
レベル4(高度試験レベルの目安)500万〜780万円
レベル5以上600万〜950万円

出典:厚生労働省job tag(2026年時点掲載。レベルと資格の対応は目安)

たとえば経験17年・年収490万円の業務系SEなら、レベル1〜2帯(420万〜620万円)の下位〜中位にあたります。第一四分位420万円と第三四分位620万円の中間点は520万円で、490万円はそれを下回るからです。この中間点は編集部の算出であり、中央値ではありません。

経験年数に対してレベル評価が置いていかれているなら、「17年の経験」ではなく「同じ1年を17回」と市場に読まれている可能性があります。ここまで具体化して、初めて打ち手が決まります。

40代にスカウトは来るのか:編集部の実物で示す

「40代の下層SESにスカウトなんて来ない」と思うかもしれません。40代へのスカウト受信状況を示す公的統計は、編集部が確認した範囲(前掲の公的統計。2026年8月時点)では見当たりませんでした。そこで、統計の代わりに編集部の実物を示します。

編集部の運営メンバー(40代)には、現在もマネジメント職クラスのスカウトが継続的に届いています。職種はWebマーケティング領域でエンジニアではありませんが、「40代になるとスカウトが止まる」が事実でないことの実例にはなります。実際に届いた画面が下の1枚です。

40代の編集部の運営メンバーに実際に届いたスカウト・オファー画面(社名・担当者名はぼかし加工)

1つ、編集部の失敗談を添えます。編集部の運営メンバーが2012年に初めてスカウトを受けたとき、比較対象を持たないまま給与と会社規模だけで1社即決しました。年収は大きく上がりましたが、入社後は人間関係の相性で苦労しました。比較せずに1社で決めると、入る前に測れない要素を全部運に任せることになる——スカウトは1通の嬉しさで判断せず、複数を並べて初めて測定器になります。

スカウトは「誰の財布から出た言葉か」を確認して聞く

スカウトもエージェントの提案も、費用を払っているのは採用企業であり、あなたは商品側です。だから無料で使い倒してよく、同時に、届く言葉は誰の財布から出たものかを確認してから聞く必要があります。同単価のSES案件スカウトばかり届くのは、あなたの上限がそこだからとは限りません。その経歴の置き方で釣れる求人がそこに集中しているだけ、というケースが典型です。

動いたあとに残る感情の扱いは、転職してから残る後悔を2種類に切り分けるで別に扱っています。決め方への後悔と、入る前には読めなかったことへの後悔は、打てる手がまったく違います。

値札が動く一手は3つ:商流を上る・業界を選び直す・積み方を変える(置く・積む)

測った結果、値札が想定より低かったとしても、打ち手は根性論ではありません。値札は「個人の努力×市場の風向き」の掛け算で決まります。40代が残りの20年で打てる手は、次の3つに集約されます。この3手を実行順に分解した手順は40代エンジニアの生き残り方|値札が動く5ステップ手順にまとめました。

一手目:商流を上る

前述のとおり、下請の担当工程は開発56.6%・要件定義5.5%(公正取引委員会・2022年)。「上流経験を積んでから商流を上る」は順序が逆で、商流を上らないと上流経験が構造的に積めません。二次請け以下から元請け・自社開発・ユーザー企業側へ移ること自体が、「積む」の前提条件です。

値差も公的データで確認できます。開発系9職業の平均年収578.5万円に対し、基盤系SE・ITプロジェクトマネージャの区分は平均889万円です。いずれも厚生労働省job tag(在職者データは令和7年賃金構造基本統計調査ベース)。約310万円の差は、個人の能力差ではなく、担う工程と商流の位置の差です。

二手目:職種を固定して、身を置く業界を選び直す

「40代からWeb系モダン開発へ」のような職種転換だけが移動ではありません。業務系SEというスキルを固定したまま、発注元(ユーザー企業)側に移るのが、40代にとって再現性の高い移動です。

公取委調査では、下請ソフトウェア業の発注元は製造業21.1%・金融業/保険業14.4%など(2022年)。あなたが今書いている基幹システムの発注側には、その業務を理解した内製要員・社内SEの席があります。長年の業務知識(会計・生産管理・在庫管理など)は、商流を上るときにだけ値札に換わる資産です。

三手目:積み方を変える——値札が動くものだけを積む

資格や学習は「何でも積めば偉い」ではなく、需要に対して供給が追いついていない領域を選んだときだけ複利で効きます。編集部の運営メンバーは2006〜2007年、まだ専門家が少なかったSEOにいち早く深く関わり、その専門性が以後20年のキャリアの土台になりました。旬のスキルは、供給(専門家)が薄い時期に積んだ人にしか長期の利得が乗りません。

いまの候補で言えば、生成AIの実務活用です。令和8年版情報通信白書(2025年度調査)では、生成AIの利用経験率は20代78.2%に対して40代49.0%。プログラムコード生成AIの利用率は日本全体で7.0%(米国35.4%)にとどまります。

つまり日本の開発現場では、コード生成AIを業務で使いこなす人材の供給はまだ薄い状態です。「AIがエンジニアを不要にするか」を編集部は断定しませんが、供給が薄いうちに実務で使い倒した経験を積むこと自体は、需給データの上で分の良い賭けと考えます。

なお、値札が動きにくい積み方の典型は、現場の御用聞きスキルの上塗り(その常駐先でしか通用しない手順の熟練)です。積む前に「この経験は職務経歴書の1行になるか」を毎回確認してください。

「上流に行く」「リーダーになる」と言うとき、その中身は肩書きではなく、何を決める側に立つかで決まります。役割の中身を3つの決定に分けて、いまそれが自社と客先のどちらに置かれているかを数える手順は、役割名の下にある決定を数える方法にまとめました。

家族と住宅ローンがある40代の転職の進め方(換える)

年収を下げられない40代の転職は、勢いではなく段取りです。編集部が勧める進め方は次の4点に尽きます。

住宅ローンそのものが転職の判断にどう効くかは、借りる前か、申し込んでから融資が実行されるまでの間か、返済中かで変わります。公表されている条件と、公表されていない基準の線引きは借入れの局面ごとに確かめることを整理した記事にまとめました。

  1. 在職中に活動する。生活防衛資金を守り、焦りで判断を歪ませないため。退職してからの活動は勧めません
  2. 「入りたい企業リスト」は自分で持つ。エージェントの提案リストは世の中の選択肢ではなく、決まれば手数料が入る契約企業の在庫です。リストの企業がエージェント経由で募集していなければ、直接応募すればよいだけです(手数料のかからない直接応募を歓迎する企業も多くあります)
  3. サービスは役割で3つ併用する(下表)
  4. 「動かない」も選択肢として持つ。実測した値札は、社内の評価面談・単価交渉の最強の材料にもなります
サービス工程における役割
スカウトサービス:1社「測る」の定点観測。自分に付く値札と想定外の選択肢を知る
大手転職エージェント:1社「換える」の経路確保。求人数と業界の幅を押さえる
IT特化型エージェント:1社商流・技術を理解した求人と選考対策で換金レートを上げる

「40代で動くと年収が下がる」という思い込みには、データを添えます。転職入職者の賃金変動(全産業・2024年・前掲・令和6年雇用動向調査結果の概況)は「増加」40.5%・「減少」29.4%で、増加が11ポイント上回ります。全産業の数値でありエンジニアに限定した統計ではなく、上がる保証もありませんが、少なくとも「動けば下がるのが普通」は統計と合いません。下げないための実務は、値札の実測を先に済ませ、現年収ではなく実測値を基準に交渉することです。

動くかどうかを決めきれないときは、決意ではなく条件の側から詰めてください。何が満たされたら動くか、いつまでに確かめるかを書き出す手順は動くか動かないかを条件と期限で決める手順にまとめました。

なお、登録や応募を急ぐ必要はありません。当サイトは読者がサービスに登録すると収益を得る立場ですが、急かされた判断はあなたの軸を歪めるだけです。測るだけ測って動かない読者も、当サイトにとっては成功例です。

40代未経験からエンジニアになれるか

不可能ではありませんが、編集部は「現在の年収を維持したい40代」に未経験からのエンジニア転職を積極的には勧めません。40代未経験者の転職成功率を示す公的統計は、編集部が確認した範囲(前掲の公的統計。2026年8月時点)では見当たりませんでした。「無理」とも「余裕」とも断定できないのが正直な現在地です。

参考になる一次データは2つあります。第1に、job tagのプログラマー区分の有効求人倍率は0.98倍(令和7年度)と、開発系で唯一1倍を割っています。エントリー層の椅子は、経験者市場(受託・Web系SEは2.54倍)より明確に狭い状態です。第2に、開発系在職者の平均年収578.5万円は経験者を含む平均であり、未経験入職はこれを大きく下回る水準から始まるのが通例です。

それでも挑戦する場合、編集部の条件は次の3つです。

  • 現職を辞めずに、学習と小さな実務(副業・社内のIT化業務)で適性を確かめる
  • 生活防衛資金を確保してから動く
  • スクールを使うなら「卒業生の転職先の商流(何次請けか)」を確認する。40代未経験の受け皿の相当部分はSES下層に集中している、と編集部はみています。受け皿の内訳を示す公的統計は、編集部が確認した範囲では見当たりませんでした。ただ、最終下請の68.6%は資本金1,000万円以下の零細企業です(公正取引委員会・2022年)。この商流構造では未経験者の入口も下層に生まれやすい、というのが編集部の見方の根拠です。そこは本記事で述べた頭打ち構造の入口でもあります

よくある質問

エンジニアは何歳まで働けますか?

「何歳まで」という上限が決まっているわけではありません。産業別に見た情報通信業の所定内給与は、55〜59歳の月51万6,300円がピークです(前掲・令和7年賃金構造基本統計調査の概況・2025年6月分。全産業計の系列ではありません)。

40代の間は上り坂が続き、50代前半でいったん横ばい〜微減(45〜49歳49万1,700円→50〜54歳49万1,300円)を挟んでから、このピークに達します。上限を作るのは年齢ではなく、市場で通用するスキルの需給です。

40代エンジニアが生き残るには何をすればいいですか?

順番は「測る」が先です。市場価値を実測してから、①商流を上る、②職種を固定して業界(発注側)を選び直す、③需給の偏った旬スキルを積む、の3手から自分の軸に合うものを選びます。詳細は本文の「値札が動く一手は3つ」を参照してください。所要時間つきの実行手順は値札を動かす5ステップの実行手順にあります。

40代未経験からエンジニアになるのは無理ですか?

無理と断定できる統計は、編集部が確認した範囲では見当たりません。ただし簡単でもありません。プログラマー区分の有効求人倍率は0.98倍(令和7年度・job tag)と開発系で唯一1倍未満で、エントリー層の競争は経験者市場より厳しい状態です。編集部は、現年収の維持が必要な人には、在職のまま適性を確かめる進め方を勧めます。

45歳のエンジニアの年収はいくらですか?

産業別に見た情報通信業の45〜49歳の所定内給与は、月49万1,700円です(前掲・令和7年賃金構造基本統計調査の概況・2025年6月分。一般労働者・男女計、賞与含まず)。職種側では開発系9職業の平均年収が578.5万円、基盤系SE・PM区分は889万円(job tag)。同じ45歳でも、担う工程と商流の位置で数百万円の幅があります。

40代の転職はやめたほうがいいですか?

「やめたほうがいい」と一律には言えません。転職入職者の賃金は全産業で「増加」40.5%・「減少」29.4%(2024年・前掲・令和6年雇用動向調査結果の概況)であり、動けば下がるという通説は統計と合いません。ただし編集部は、値札を実測する前に退職・応募へ進むことは勧めません。測ってから、動くか動かないかを自分の軸で決めてください。

まとめ:40代エンジニアは、測った人から選択肢が増える

  • 現在地:開発系の平均年齢は37.1歳。産業別に見た情報通信業の賃金は、50代前半に横ばい〜微減を挟みつつ55〜59歳がピーク。40代は市場の中心であり、手遅れではない
  • 頭打ちの正体:年齢ではなく多重下請の中間マージンと「要件定義5.5%」の構造。移動で解決する問題
  • 最初の一手:転職の意思が固まっていなくても、値札の実測(スカウト定点観測+公的相場+エージェント面談)だけは始める
  • 値札が動く一手:商流を上る/職種を固定して業界を選び直す/供給の薄い旬スキルを積む
  • 進め方:在職中に、入りたい企業リストは自分で持ち、スカウト1・大手1・特化1の3点構成で。動かない選択も、実測した値札があれば社内交渉というリターンに変わる

商流を上って値札を上げたい人には、40代はまだ十分に動ける年代です。一方で、現職の時間や人間関係に満足していて値札だけが不満な人は、慌てて動く必要はありません。まず測って、社内交渉の材料にしてください。

いずれの場合も、先に自分の市場価値を測ってから判断するのが編集部のおすすめです。残りの20年を「あるものを受け入れる」で過ごすか、「選べる側」で過ごすかは、今日測るかどうかで分かれます。


訂正履歴

  • 2026年9月1日|「参考・出典」欄:job tag掲載の有効求人倍率について「令和6年度職業安定業務統計に基づく」と書いていましたが、原典の表記ではありませんでした。job tagはこの項目を「ハローワーク求人統計データ」として掲載しており、「職業安定業務統計」という統計名を表示していません。編集部による言い換えを原典の表記のように書いていたため、job tagの表示に合わせて改めました。
  • 2026年9月1日|「エンジニアの中心はもう40歳前後」「一手目:商流を上る」「45歳のエンジニアの年収はいくらですか?」の計3箇所:job tagで同一の在職者データ(平均年収578.5万円・平均年齢37.1歳)が掲載されている開発系の職業を「6職業」と書いていましたが、2026年9月1日に編集部が各職業ページを確認したところ9職業でした。職業数を9に改めました(平均年収・平均年齢の数値は変わっていません)。
  • 2026年8月23日|「求人は減少局面。だからこそ順番は『測る』が先」の節:「エンジニア転職の主戦場はハローワークではなく、エージェント・スカウト経由です」と書いていましたが、この形の断定を取り下げました。実数で言えるのは、経験者の採用がハローワークの外側で動いていることまでです。外側の中身をスカウトとエージェントに限る根拠はなく、スカウトサービス経由だけを独立して集計した公的統計は編集部が確認した範囲では見当たらないため、エージェント経由の就職件数と、転職活動で使われた方法の内訳を新たに示す形に改めました。

参考・出典

  • 厚生労働省「job tag(職業情報提供サイト)」プログラマー・システムエンジニア(受託開発)ほか各職業ページ(平均年齢・平均年収・ITSSレベル別年収・有効求人倍率): https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/313 ほか(2026年9月1日に編集部が確認した掲載値。在職者データは令和7年賃金構造基本統計調査ベース、有効求人倍率は令和7年度。同サイトは有効求人倍率・求人賃金を「ハローワーク求人統計データ」として掲載しており、「職業安定業務統計」という統計名は表示していません)
  • 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」第5-1表(産業大分類×年齢階級別。情報通信業および産業計(全産業)の年齢階級別所定内給与・平均年齢。一般労働者・男女計、数値は2025年6月分): https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/dl/14.pdf
  • 公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」(2022年6月29日。中間マージンの記述・下請の担当工程・資本金構成・中抜きの実感): https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jun/220629_sw_03.pdf
  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」報道発表資料・参考統計表7-1(情報処理・通信技術者の有効求人倍率・就職件数、情報通信業の新規求人): https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001695526.pdf / https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001695527.pdf
  • 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(年齢階級別転職入職率・転職入職者の賃金変動。2024年): https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf
  • 厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表。有料職業紹介事業の常用就職件数の職業別内訳。本記事で用いたのは「情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)」39,780件と「同(ソフトウェア開発を除く)」26,882件。合計66,662件は編集部の算出。数値・公表日は編集部の統計存在確認〔2026年8月23日実施〕による): https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf
  • 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」個人調査 表17「性、年齢階級、最終学歴、現在の勤め先の就業形態、転職活動の方法別転職者割合」(2021年11月8日公表・複数回答・調査時点は令和2年10月1日現在。本記事で用いたのは求人サイト・求人情報専門誌等39.4%。「転職活動で使った方法」であって就職が決まった経路ではありません。全産業の数値で、IT・情報通信業に限定した統計ではありません。表題・公表日は編集部の統計存在確認〔2026年8月23日実施〕による): https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r02-gaikyo.pdf
  • 総務省「令和8年版情報通信白書(概要)」(生成AIの年代別利用経験率・コード生成AI利用率。2025年度調査): https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/summary/summary01.pdf
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