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SESの単価相場はいくら?単価と給与の構造を公的データで解説

SESの単価相場と単価・給与の構造を公的データで解説する記事のアイキャッチ
テックスカウト編集部

SESの単価相場を公的データの定点で示すと、IT技術者(情報処理・通信技術者)の派遣料金は1人1日あたり34,382円(8時間換算・消費税込み)です。月20日稼働なら約69万円にあたります。同じ統計で労働者に支払われた賃金は日額21,032円——発注額の約6割です。出典はいずれも厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表)で、労働者派遣の実測値です。

実は、SES(準委任)の単価そのものを集計した公的統計は存在しません。だからネット上の相場表は会社ごとにバラバラです。この記事では、公的データで確認できる範囲と確認できない範囲を切り分けます。そのうえで単価が商流のどこで削られて給与になるのかを公正取引委員会の実数で解剖し、自分の単価を確かめる手順まで解説します。

SESの単価相場:公的データの定点は「技術者1人・日34,382円」

SESの単価(人月単価)とは、エンジニア1人が1か月働く労働力に対して発注元が支払う金額のことです。準委任契約なので、対価は成果物ではなく労働の提供(時間)に対して発生します。SESの契約の仕組み全体はSESとは?仕組み・商流・カネの流れの解説記事にまとめています。

最初に前提を言い切ります。SES契約の単価を職種別に集計した公的統計は、存在しません。そのうえで、編集部が単価の定点として使えると判断している公的データが1つあります。労働者派遣法に基づき全派遣会社が国へ提出する事業報告の集計、つまり派遣料金の実測値です。

情報処理・通信技術者(8時間換算) 令和5年度 令和6年度 月20日換算(令和6年度)
派遣料金(発注側が払う額・消費税込み) 33,387円 34,382円 約69万円
派遣労働者の賃金(働く人が受け取る額) 20,430円 21,032円 約42万円
(参考)全業務平均の派遣料金 25,337円 26,257円 約53万円

(出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」表6・表7。2026年3月31日公表。各事業所の単純平均)

この表の数値は、編集部が厚生労働省の公表PDF(001684019.pdf)を直接開いて転記しました。他媒体の解説記事の要約は使っていません。表6(派遣料金)と表7(派遣労働者の賃金)を、同じ職種区分「情報処理・通信技術者」で突き合わせています(照合日:2026年8月9日)。この読み合わせで確認したのは次の2点です。①表6の派遣料金には消費税が含まれると明記されているため、表7の賃金とそのまま割り算すると、働く人の取り分を過小に見積もってしまう点。②令和5年度の同一区分(料金33,387円・賃金20,430円)と並べると、料金・賃金とも前年度から伸びている点。以降の比率計算は、この税込・税抜の区別を明示したうえで行います。

読み方の注意が2つあります。第1に、これは労働者派遣の数値であり、SES(準委任)の単価そのものではないことです。派遣と準委任は法律上の扱いが異なります(違いはSESと派遣の契約上の違いで解説しています)。ただし「ITエンジニアの労働力1人・日に市場が払う金額」の実測として、これより信頼できる公開データはないというのが編集部の判断です。第2に、派遣料金は消費税込みの記載です。税抜に直すと日額約31,300円、月20日で約63万円になります。

「エンジニア1人の労働力は、市場では月60万〜70万円で取引されている。IT職の水準は派遣の全業務平均より約3割高い」——これが公的データから言える相場の出発点です(34,382円÷26,257円≒1.31。編集部算出)。

民間の相場表がバラバラな理由

「SES 単価相場」で検索すると、月40万円台から100万円超まで、サイトによって大きく異なる相場表が出てきます。ばらつく理由は単純で、多くが調査方法非公開の自社調べだからです。しかも掲載しているのはSES企業やエージェント自身のメディアが中心で、採用や転職登録への誘導という目的を持っています。

数字を見るときは「誰の財布から出た言葉か」を先に確認するのが当サイトの流儀です。民間の相場表が間違いだと言いたいのではありません。出典と調査方法が書かれていない相場の数字は、参考程度にとどめ、判断の土台には公的な実測値を置く——編集部はそう考えます。

単価と給与の関係:働く人の取り分は6割強

単価は、そのまま給与になりません。上の公的ペアデータで計算すると、**労働者の取り分(賃金÷派遣料金)は61.2%です(21,032円÷34,382円。編集部算出)。派遣料金は消費税込みなので、税抜ベースに直すと約67.3%**になります(21,032円÷約31,256円。同)。

残りの3〜4割は「会社の搾取分」かというと、そう単純ではありません。一般に会社側の取り分から支払われるのは次のような費用です(編集部整理)。

  • 社会保険料の事業主負担分(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険など)
  • 有給休暇の賃金、待機期間(案件が空いた期間)の給与
  • 営業・管理部門の人件費、教育費、オフィス等の固定費
  • 会社の利益

つまり単価と月給の差額には、あなたに戻ってくる費用(社保・有給・待機保障)と、戻ってこない費用(会社の経費・利益)が混ざっています。問題はこの内訳が見えないことです。派遣会社には2つの義務があります。マージン率等の情報提供義務(労働者派遣法23条5項)と、派遣労働者本人への派遣料金の額の明示義務(同法34条の2)です。一方、準委任契約で働く場合、これらに相当する開示義務を定めた法律はありません。SESの単価と分配は、法律ではなく会社の方針で決まります。

※本記事の制度に関する記述は一般的な情報です。自分の契約が準委任と労働者派遣のどちらに当たるか、開示義務の有無といった個別の判断は、都道府県労働局や社会保険労務士等の専門家に確認してください。

自分の水準を確かめる簡単な検算があります。「自分の月単価(税抜)×12」と「自分の年収」を比べることです。例:単価60万円なら年間720万円。年収490万円なら分配率は約68%で、派遣の実測比率(税抜約67%)とほぼ同水準——単価が正しければ、分配は業界の標準的な水準といえます。給与への不満の原因が「分配率」なのか「単価そのもの」なのかは、この検算で切り分けられます。分配率が標準的なのに給与が低いなら、疑うべきは単価、つまり商流です。

派遣料金と労働者の賃金の内訳(令和6年度 労働者派遣事業報告書より)

単価が削られる場所:多重下請の中間マージンを実数で見る

あなたの単価の出発点は、発注元(エンド)が払う金額です。そこから商流を1段下るたびに中間マージンが引かれます。公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」(2022年6月29日公表)は、この構造をこう明記しています。「多重下請構造下では再委託の都度、中間マージン等が差し引かれるため、下層に行くほど受注金額が低くならざるを得ない」

同じ調査(資本金3億円以下の4,739社が回答)の実数が、この構造の広がりを示しています。

  • 取引上の位置付けは元請40.4%/中間下請38.2%/最終下請21.3%(n=4,589)——受注側の6割が誰かの下請
  • 自由回答には**「6次下請の末端技術者として参加した」「SESでは最大5社が中間に入るケースがある」**という実例が記録されている
  • 商流内に不必要な「中抜き」事業者の存在を感じた:中間下請29.2%・最終下請33.5%
  • 最終下請の68.6%が資本金1,000万円以下——下層ほど会社は零細で、単価交渉力も弱い

(出典:同報告書。割合はいずれも受注側がそう回答した数値で、母数は回答企業4,739社のうち当該設問に回答した企業です)

仮の数字でモデル化してみます。:エンドが月100万円(税抜)で発注し、商流が「エンド→元請(1次請け)→2次請け→3次請け」と続くとします。間に入る各社が10〜15%ずつ差し引くとすると、2次請けの会社の受取額は月85万〜90万円、3次請けなら月72万〜81万円です。そこからさらに前セクションの分配(6〜7割)を掛けたものが、あなたの給与の原資になります。間に1社入るごとに、給与の天井は1〜2割ずつ下がる——同じ現場で同じ作業をしていても、です。これが「単価と給与の構造」の正体です(数値は説明用の試算であり、実際のマージン率は契約ごとに異なります)。

だからこそ、単価の話は「いくらもらえるか」の前に「何次請けか」を確かめる話なのです。商流構造の全体像はSESの商流と何次請けかを見抜く方法で詳しく解説しています。

多重下請構造で単価が中間マージンにより減っていく仕組みの図解

40代で単価が3年上がっていないなら:原因は年齢ではなく構造

単価が上がらないと、「40代だから切られないだけマシ」と考えてしまいがちです。編集部はその説明を採りません。情報通信業の賃金は、40代を通じて上がったあと50代前半でいったん横ばい〜微減を挟み、55〜59歳で最も高くなるからです。

産業大分類「情報通信業」の所定内給与(月額・一般労働者・男女計)は、40〜44歳45万6,800円 → 45〜49歳49万1,700円 → 50〜54歳49万1,300円 → 55〜59歳51万6,300円という形です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」「(5)産業別にみた賃金」産業大分類×年齢階級別表〔概況10ページ・第5-1表〕。数値は2025年6月分)。40代を通じて上がったあと、50〜54歳でわずかに下がっていったん横ばい〜微減を挟み、そこから55〜59歳が最も高くなります。単調に上がり続けるカーブではありませんが、40代の水準がこの産業の天井ではありません。

job tagの公的データでも、開発系職種(プログラマー・SE等)の平均年収は578.5万円、上流のIT職(基盤システムSE・PM等)は889万円です。いずれも厚生労働省job tagの掲載値で、前掲・令和7年賃金構造基本統計調査の概況をベースにしています(開発系6職業は同一の統計区分を共有する数値)。情報通信業という産業の水準は40代でまだ上向き、50代を通じても高い水準を保つのに、自分の単価だけが止まっているなら、それは年齢の問題ではなく、単価が動かない場所に置かれている構造の問題です。

単価が動かない構造は、主に3つに切り分けられます。

  1. 商流が深い——中間マージンの分だけ、あなたの会社が受け取る単価の天井が最初から低い(前セクションのとおり)
  2. 単価が動く工程を経験できない——公取委調査では、下請事業者が主に担当する工程は開発(プログラミング)が56.6%です。一方、ユーザーへの提案・要件定義はわずか5.5%(出典:同報告書。n=2,589)。単価の高い上流工程は、下層にはそもそも回ってこない
  3. 会社の分配方針——単価が上がっても昇給に反映するルールがない(単価連動の仕組みや評価制度がない)

1と2は個人の努力では動かせません。あなたの単価が3年動いていない原因の大半は、あなたのスキルではなく、この構造側にある——というのが、公的データから編集部が導く結論です。したがって打ち手も、「今の現場でもっと頑張る」ではなく、単価の確認→外部の実測→置き場所の変更、という構造側の手順になります。

自分の単価を確認する3ステップ(教えてくれない場合の対処も)

単価の議論は、自分の単価を知らないままでは始まりません。編集部が勧める確認手順は次の3ステップです。

  1. 営業担当に単価と商流を聞く——「自分の現在の単価と、この案件の商流(何次請けか)を教えてください」と率直に聞きます。教えてもらえたら、前述の検算(単価×12と年収の比較)で分配率を確認します
  2. 答えの歯切れで会社を測る——準委任契約であれば、単価の開示を義務づける法律はありません(実態が労働者派遣の場合は明示義務があります。後述のよくある質問を参照)。ただし、開示できない・しない会社は、分配の説明責任を果たす気がない会社だと編集部は判断します。単価非開示・商流も不明なら、それ自体が転職検討の材料になります
  3. 外部の値札で裏を取る——社内の単価が確認できてもできなくても、スカウトサービスに職務経歴を置き、市場が自分にいくらの値札を付けるかを実測します。転職の意思が固まっていなくても構いません。単価交渉をするにも、外部の実測値が最強の交渉材料になります。測り方の全体像はエンジニアの市場価値の測り方、スカウトの仕組みはエンジニアのスカウト活用ガイドで解説しています

なお単価交渉の時期について、編集部が勧めるのは契約更新期(四半期・半期の切り替わり)の1〜2か月前です。案件の契約が更新される時期は、会社と発注元の間でも単価が再交渉されます。根拠(担当範囲の拡大・外部の値札)を持って申し出れば、検討の土俵に乗りやすくなると考えています。※このタイミングの目安は編集部の見解で、公的な調査データに基づくものではありません。

会社が「派遣もやっている」場合は、公的サイトで裏が取れます。厚生労働省の人材サービス総合サイト(jinzai.hellowork.mhlw.go.jp)で社名を検索してください。派遣事業の許可番号が確認できます。マージン率は派遣法23条5項に基づく情報提供の対象で、同サイトに掲載している会社もあります。条文が定める方法は「インターネットの利用その他の適切な方法」なので、同サイトに掲載がなければ当該会社の自社サイトで確認してください。派遣部門のマージン率は、その会社の分配方針を推し量る参考情報になります。

よくある質問

SESの単価相場はいくらですか?

公的データの定点では、IT技術者(情報処理・通信技術者)の労働力の市場価格は1人1日34,382円(消費税込み)です。月20日換算では約69万円になります(厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」2026年3月31日公表。労働者派遣の実測値)。SES(準委任)の単価そのものの公的統計は存在しないため、この数値を基準点に、商流の深さ・工程・スキルで上下すると考えるのが実態に近い読み方です。

SESで単価60万円なら給料はいくらですか?

単価から給与を機械的に換算する公式はありませんが、目安は計算できます。公的統計の実測では、労働者の取り分は派遣料金(消費税込み)の61.2%、税抜換算では約67%です(同統計から編集部算出)。税抜の単価60万円には税抜基準の約67%を当てるので、月40万円前後が給与原資の目安になります。実際の額は会社の分配方針(社保・待機保障・賞与の扱い)で変わるため、保証値ではありません。

単価のうち何割が自分の給料になりますか?

公的統計の実測では、働く人の取り分は**税込単価の約6割、税抜単価の約67%**です(令和6年度・情報処理・通信技術者の派遣料金と賃金から編集部算出)。準委任契約には、派遣のようなマージン率の公開義務や派遣料金の額の明示義務がありません。そのため実際の割合は会社ごとに異なります。「自分の月単価(税抜)×12」と年収を比べれば、自社の分配率を検算できます。

単価を教えてくれない会社は違法ですか?

契約が準委任(SES)であれば、単価の開示を義務づける法律はありません。準委任は民法上の契約で、派遣法のような情報提供・明示の義務が及ばないためです。ただし、契約の実態がどちらなのかで結論は変わります

  • 実態が労働者派遣なら、本人への明示義務があります。派遣元事業主は、当該労働者に係る派遣料金の額(または当該事業所の派遣料金の平均額)を本人に明示しなければなりません(労働者派遣法34条の2)。明示が必要なのは、①派遣労働者として雇い入れようとするとき、②労働者派遣をしようとするとき、③派遣料金の額を変更するときの3つです。明示の方法は書面の交付等です(施行規則26条の3)。派遣会社にはこれとは別に、マージン率等の情報提供義務(同法23条5項・施行規則18条の2)もあります
  • 契約書は準委任でも、常駐先から直接指揮命令を受けている実態があるなら、偽装請負の問題になります。労働者派遣か請負・準委任かは、契約書の名称ではなく実態で判断されます(区分基準:昭和61年労働省告示第37号。詳細はSESが違法になる境界線=偽装請負で解説しています)

そのうえで編集部は、単価も商流も開示しない会社を「分配の説明責任を放棄している会社」として評価を下げます。開示の有無は、その会社に居続けるかを判断する材料になります。※以上は一般的な制度の説明です。自分の契約がどちらに当たるか、明示義務が及ぶかといった個別の判断は、都道府県労働局や社会保険労務士等の専門家に確認してください。

単価交渉はできますか?成功しやすいタイミングは?

できます。編集部が狙い目と考えるのは案件の契約更新期の1〜2か月前です(公的な調査データはなく、編集部の見解です)。会社と発注元の単価再交渉と時期が重なるため、担当範囲の拡大・成果・外部の値札(スカウトでの実測)を根拠に申し出れば検討されやすくなります。逆に、根拠なしの「上げてほしい」は通りにくく、単価非開示の会社では交渉の土俵自体がありません。その場合は交渉より先に、単価が見える会社への移動を検討すべきだというのが編集部の考えです。

まとめ:単価の数字より先に、構造を確かめる

  • SES単価の公的統計は存在しない。定点になるのは労働者派遣の実測で、IT技術者は日額34,382円=月約69万円(令和6年度・消費税込み)
  • 働く人の取り分は税込の約6割・税抜の約67%。単価×12と年収の検算で、問題が「分配」か「単価」かを切り分ける
  • 単価は再委託のたびに中間マージンで削られる(公取委が公式に明記)。単価の低さの正体は、多くの場合スキルではなく商流の深さ
  • 40代で単価が3年止まっていても、情報通信業の賃金は40代を通じて上がり、50代前半の横ばい〜微減を挟んで55〜59歳が最高。原因は年齢ではなく置かれている構造
  • 打ち手は「単価と商流を聞く→分配率を検算する→スカウトで外部の値札を実測する」の順
  • ただし、この手順を急がなくていい人もいます。単価と商流を会社から開示されていて、検算した分配率も標準的な水準なら、いま動く必要はありません。その場合も年に1回は外部の値札を測っておくと、社内交渉の材料になります

単価の相場を調べることは、自分の値札の実測の入り口です。今日転職を決める必要はありません。ただし、自分の単価と商流を知らないまま40代を過ごすことだけは、編集部としてお勧めしません。まず営業担当への質問一つ、スカウトへの経歴登録一つから始めてください。


参考・出典

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