独立系SIerとは|資本区分が決めるもの・決めないもの

独立系SIerで資本の線と契約の線が別物であることを示した記事のアイキャッチ
テックスカウト編集部

独立系SIerとは、特定の親会社を持たず、資本のうえで独立した立場でシステム開発を請け負う会社の総称です。編集部の結論を先に書きます。この資本の区分が決めているのは「案件がどこから入ってくるか」であって、あなたの待遇を左右する商流の位置ではありません。

編集部は2026年8月25日に「独立系sier」の検索上位10件を確認しました。9件から取得できた見出し385本(h1〜h3)のうち、「40代」「40歳」を含む見出しは0本、政府統計や公的調査の名称を含む見出しも0本でした。

この記事では、上位10件が繰り返し挙げる9つの論点を「資本の区分から説明がつくもの」と「つかないもの」に仕分けます。そのうえで、企業名を1社も使わずに判定できる4つの手順に落とします。

独立系SIerとは?特定の親会社を持たないSIerの総称

独立系SIerとは、特定の親会社を持たず、資本のうえで独立した立場でシステム開発を請け負う会社の総称です。読み方は「どくりつけいエスアイヤー」で、SIerはSystem Integrator(システムインテグレーター)の略にあたります。

「独立系」が示しているのは資本の出どころです。誰がこの会社の株主で、その株主が会社の方針を決められる立場にあるかどうか、という一点を指しています。

そして、示していないことのほうが多いというのが編集部の見方です。会社の規模も、受けている案件が何番目に入ってきたものかも、あなたが常駐するかどうかも、この呼び名からは確定しません。

  • 示していること:特定の親会社が存在しないこと(=親会社からの案件という経路がないこと)
  • 示していないこと:会社の規模、商流の位置、契約の形態、就業場所、給与の水準
  • 確定しないこと:「独立系です」という自称が、法令上の親子関係の有無と一致しているかどうか

SIerという言葉そのものが何を意味し、業界全体がどういう地図になっているかは、エスアイヤーという呼び名の中身を公的分類から解いた記事にまとめてあります。分類の概説はそちらの担当で、本記事は独立系という1区分の深掘りに絞ります。

「親会社」には法令上の定義がある

「親会社を持たない」と言うとき、その「親会社」には会社法の定義があります。編集部は2026年8月25日に、e-Gov法令検索で条文を1条ずつ原文で照合しました。

会社法2条4号は、親会社を「株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるもの」と定めています。同条3号の子会社は「会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの」です。

ここでいう「支配している場合」の中身は、会社法施行規則3条が定めています。同条1項は次のとおりです。

法第二条第三号に規定する法務省令で定めるものは、同号に規定する会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等とする。(会社法施行規則3条1項)

そして同条3項が、その「支配している場合」を号に分けています。

条文が定める場合
3項1号 議決権の数の割合が百分の五十を超えている場合
3項2号 議決権の数の割合が百分の四十以上である場合(1号を除く)であって、条文が挙げるいずれかの要件に該当する場合

読み取れることは1つです。議決権の過半数を持たれていなくても、40%以上を持つ株主がいれば、条文上は支配関係に当たりうるということです。

一方で「独立系SIer」は業界の慣用語であり、この会社法の区分に基づいて名乗られているものではありません。したがって編集部は、「独立系と名乗っている=会社法上の親会社がいない」とは書きません。確かめたいなら、議決権の比率を聞くのが最短です(手順は後述します)。

※本セクションは一般的な制度の説明です。個別の会社の資本関係がどう扱われるかの判断は、専門家または公的機関に確認してください。

なぜ当サイトは独立系SIerのランキングを作らないのか

個社を評価できるデータを持っていないからです。先に開示します。編集部は各社の有価証券報告書などの個社データをまだ取得しておらず、企業ごとの利益率・人件費比率・定着率を突き合わせて順位をつけられる状態にありません。

順位や評価を出すなら、調査方法・対象・時期を記事内に示せることが条件だと考えています。示せない順位は、読者にとって根拠のない指名でしかありません。根拠のない序列を書かないという方針は編集方針で公開しています。

需要があることは分かっています。編集部が2026年8月25日にラッコキーワードで「独立系sier」に部分一致するキーワードを取得したところ、177語が返りました。このうち企業の一覧・順位・年収の序列を求める語だけを合計すると、月間1,250回になります(合計は編集部の算出です)。

序列を求める検索キーワードの例(表記は検索された形のまま) 月間検索数
独立系sierランキング 720
独立系sier企業一覧 170
独立系sierランキング 100 70
独立系sier一覧 70
独立系sier 大手 50
独立系sier 中小 一覧 50
(ほか10語の合計) 120
合計 1,250

この1,250回に、当サイトは企業名では答えません。代わりに渡すのは、あなた自身が順位表を作れる引き方です(この記事の最後のほうに置いています)。

上位10件で実際に何が起きているか

編集部が2026年8月25日に数えた結果を並べます。見出しを取得できたのは上位10件のうち9件で、合計385本(h1〜h3)でした。1位は本文・見出しを取得できていません。

確認項目 結果
見出しの総数(9件・h1〜h3) 385本
「40代」「40歳」を含む見出し 0本
政府統計・公的調査の名称を含む見出し 0本
法令名を含む見出し 0本
「商流」を含む見出し 0本
「元請」を含む見出し 1本
「下請」を含む見出し 3本
見出しに個社名を出しているサイト 10件中3件
個社の順位表を持つサイト 10件中2件
平均文字数(取得できた9件) 約15,370字(最短7,127字・最長28,950字)
  • 編集部調べ:2026年8月25日にラッコキーワードの見出し抽出機能で上位10ページの見出しを取得し、全件を目視で確認しました。平均文字数は取得できた9件から編集部が算出した値です

読者の想定も割れていました。新卒就活サイトが2件、フリーランス案件サービスが2件、発注担当者に向けて書かれたSIer事業者の自社メディアが1件、求人の検索結果ページが1件です。在職中の40代を読者として明示している記事は、この10件のなかにはありませんでした。

順位表を持つ2件が比べているのは、平均年収・売上高・残業時間・口コミ評価・営業利益・有給日数・新卒離職率です。いずれも会社単位の指標であって、あなたが配属される案件の指標ではありません。この区別は、この記事の後半でもう一度出てきます。

独立系という資本区分は、働く側の何を決めるのか

決めているのは案件の入口で、決めていないのは商流の位置です。この2つを1本の線でつなげてしまうのが、独立系をめぐる議論でいちばん多い混同だと編集部は考えます。

会社には2種類の線が付いています。資本の線(誰が株を持っているか)と、契約の線(誰と誰が仕事の契約を結んでいるか)です。資本の区分は前者の話で、あなたの単価と担当工程を決めているのは後者です。

働く側に効くもの 資本の区分で決まるか 実際に決めているもの
案件がどこから入ってくるか 決まる 資本関係(親会社案件という経路の有無)
案件が止まったときに支える先があるか 決まりやすい(編集部の見立て) 資本関係+会社の体力
役員・管理職の椅子の埋まり方 決まりやすい(編集部の見立て) 資本関係(出向・転籍の経路の有無)
発注元との間に何社入るか(商流の位置) 決まらない 案件ごとの契約の並び
契約の形態(請負/準委任/派遣) 決まらない 案件ごとの契約
客先常駐になるかどうか 決まらない 案件ごとの就業場所
単価がどう給与になるか 決まらない 商流の位置+社内の分配

資本の線は案件の入口を決めますが、契約の線の本数までは決めません。独立系の会社が発注元と直接契約していることもあれば、他社から再委託を受けて3番目に入っていることもあります。逆に、親会社を持つ会社が下請として入る案件もあります。

独立系・ユーザー系・メーカー系で資本の線と契約の線を描き分けた模式図

決まるもの:案件がどこから入ってくるか

親会社を持たないということは、親会社からの案件という経路がないということです。この1点が、独立系の性格をほぼ全部つくっています。

案件の入口は3つに整理できます。親会社・グループからの発注、自社の営業で獲得した発注、そして他社からの再委託です。独立系ではこのうち1つ目が構造的にゼロになるため、残る2つの比率が会社の性格を決めます。

自社の営業で取れているなら、発注元と直接向き合う機会が増えます。再委託が中心なら、間に会社が入る案件が増えます。同じ「独立系」という看板の下に、この両方が同居します。

決まりやすいもの:止まったときに誰が支えるか

案件が終わってから次が決まるまでの期間を、何が埋めるかという話です。親会社やグループ会社を持つ会社には、グループ内の案件で稼働を埋めるという経路があります。独立系にはその経路がありません。

これが待遇に効くかどうかは、会社の体力と社内の制度によります。編集部の見立てであり、どの会社にどれだけ当てはまるかを示すデータを編集部は持っていません。確かめる方法は後述の手順4に置きます。

役員・管理職の椅子についても同じことが言えます。親会社を持つ会社では、一部のポストが出向や転籍で埋まることがあります。独立系にはその経路がないぶん、内部で上がる余地が相対的に広いというのが編集部の見立てです。

決まらないもの:商流の位置と契約の形態

独立系かどうかから、あなたが何次請けの現場に立つかは分かりません。独立系の会社が元請として入っている案件もあれば、間に複数社が入っている案件もあります。

商流の位置が何を左右するのかは、公正取引委員会の実態調査の実数まで含めて下請に回ってくる工程の偏りを数字で確かめた解説にまとめてあります。本記事は実数を再掲せず、「資本区分ではこれが決まらない」という一点だけを引き受けます。

契約の形態も同じです。同じ会社が、案件によって請負を結ぶことも準委任(SES)を結ぶこともあります。呼び名と契約の対応がどうなっているかは同じ会社が契約ごとに別の顔を持つ理由で扱っています。

そして単価です。資本の区分は、常駐先が払う金額のうちどれだけがあなたの給与になるかを決めません。そこを決めているのは商流の位置と社内の分配で、公的データを使った分解は案件の値付けが技術者の給与に届くまでにあります。

上位が挙げる9つの論点を仕分ける

編集部が上位10件の見出しから抽出した9つの論点のうち、資本の区分から説明がつくのは4つでした。残る5つは、資本ではなく案件や社内制度で決まっています。

数え方を先に書きます。9件から取得した385本の見出しを読み、同じ趣旨の見出しを1つの論点にまとめ、その論点を見出しに掲げているサイト数を数えました。1つの見出しが2つの論点を含む場合は、両方に数えています。

上位が掲げる論点 見出しに掲げたサイト数 資本の区分から説明がつくか
客先常駐が多い 5 つかない(常駐は案件ごとの就業場所)
親会社の制約を受けない 5 つく(資本関係そのもの)
離職率が高い 4 つかない(下記のとおり検証できない)
納期・予算が厳しい 4 つかない(商流の位置と案件の条件)
成果主義で評価される 4 つかない(人事制度の設計)
幅広い業界と関われる 3 つく(親会社の業界に縛られない)
業績が景気に振られる 3 つく(緩衝材の有無)
システム開発が主業務になる 3 つかない(担当工程は商流の位置で決まる)
自社で営業する必要がある 2 つく(案件の入口)
  • 編集部調べ:2026年8月25日。この仕分けは編集部の整理であり、法律や公的機関による分類ではありません

説明がつく4つは、突き詰めればすべて同じ1点の言い換えです。親会社からの案件という経路が無い、という1点です。制約を受けないのも、業界が固定されないのも、自社で営業する必要があるのも、景気に直接さらされるのも、すべてここから出ています。

「離職率が高い」を検証できない理由

資本の系列で切り分けた離職の集計を、編集部はまだ見つけられていません。編集部が確認した範囲では、日本標準産業分類に独立系・ユーザー系・メーカー系という区分はありません。公的統計でこの業界を追うときは、中分類39「情報サービス業」まで戻ることになります。

つまり「独立系だから離職率が高い」は、少なくとも公的統計では確かめようがない主張です。統計を探し足りないのではなく、資本の系列が統計上の分類ではないためです。

産業単位の離職なら、独立した2つの公的統計で確かめられます。ただしそれは業態全体の是非を扱う記事の担当のため、本記事では数値を重ねません。

「客先常駐が多い」も資本では決まらない

常駐するかどうかは、案件ごとの就業場所の話です。独立系でも自社内で開発する案件はありますし、親会社を持つ会社でも常駐する案件はあります。

常駐という働き方そのものが何を意味するかは、顧客のオフィスで働くという形そのものの解説にまとめています。本記事は「資本区分では決まらない」という結論までを担当します。

個社名を使わずに独立系SIerを見分ける4手順

会社の名前を1社も知らなくても、この4つはすべて質問と公開情報で確かめにいけます。応募前でも、在職中の自社に対してでも、同じ手順が使えます。

# 手順 確かめる相手・場所 分かること
1 資本を確かめる 会社への質問/会社が公表している資料 独立系という自称の中身
2 案件の入口を数える 面談での質問 営業依存か、再委託中心か
3 契約の線を数える 面談での質問 商流の位置(資本では決まらない部分)
4 止まったときの扱いを確かめる 就業規則・労働条件通知書 案件が切れたあとに何が起きるか
独立系SIerを個社名なしで見分ける4手順のフロー図

手順1:資本を確かめる

聞くのは「独立系ですか」ではなく、議決権の比率です。会社法の定義に照らすと、確かめるべき数字は2つに絞れます。

  • 「議決権の過半数を持っている株主はいますか」(会社法施行規則3条3項1号に対応)
  • 「議決権を40%以上持っている株主はいますか」(同項2号に対応)

上場している会社であれば、金融庁のEDINETで開示書類を無料で閲覧できます。ただし編集部は、有価証券報告書のどの欄に何が載るかまでは本記事で書きません。2026年8月25日にe-Gov法令検索に添付された様式の原文(PDF)を開いたところ、テキストを取り出せず、記載事項を逐語で確認できなかったためです。確認できていないことを、確認できたかのように書かないという方針です。

非上場の会社では、外部から資本関係を確かめる手段は限られます。その場合は面談で直接聞いてください。答えの歯切れの悪さ自体も、判断材料になります。

手順2:案件の入口を数える

「案件はどこから来ますか」を、比率で聞きます。独立系では親会社からの経路がないため、残る2つの比率がそのまま会社の性格になります。

  1. 自社の営業が発注元から直接取ってきた案件は、全体のどれくらいか
  2. 他社から再委託を受けている案件は、全体のどれくらいか
  3. 配属予定の案件は、そのどちらか

この3つのなかで最も重要なのは3つ目だというのが編集部の考えです。会社全体の比率が良くても、あなたが立つ現場が再委託の案件なら、あなたの日常はそちらで決まります。

手順3:契約の線を数える

「発注元と自社の間に、契約は何本ありますか」と聞きます。資本の区分ではここが決まらないため、案件単位で数えるしかありません。

  • 間に0社(発注元と直接契約している)
  • 間に1社
  • 間に2社以上、または誰が発注元かを知らされていない

この数え方で位置ごとに何が変わるかは、前掲の親記事に公的データで整理してあります。会社を判定する手順そのものを1本ずつ踏みたい場合は、会社そのものを公的な記録から判定する6手順が使えます。

手順4:止まったときの扱いを確かめる

案件が終わってから次が決まるまでの給与の扱いが、就業規則に書かれているかを見ます。独立系にはグループ内で稼働を埋める経路がないぶん、この明文の有無が効いてきます。

聞き方は1つで足ります。「案件が終わってから次が決まるまでの期間、給与と研修はどう扱われますか。その定めは就業規則のどこにありますか」です。就業規則や労働条件通知書をどう読むかの手順は、手順3で挙げた6手順の記事に置いてあります。

順位表を自分で作りたい場合

当サイトは順位を出しませんが、順位を作るための材料の在り処は示せます。上位の記事が比べている指標は、平均年収・売上高・残業時間・口コミ評価・営業利益・有給日数・新卒離職率でした。

このうち上場企業の財務・従業員に関する数字は、金融庁のEDINETで各社の開示書類を無料で閲覧して集められます。口コミは複数のサイトで同じ指摘が長期間繰り返されているかを見てください。1つのサイトの点数だけで会社を断定しないことは、編集部が読者に守ってほしい線です。

そのうえで編集部の意見を書きます。会社単位の順位表は、あなたが配属される案件の順位表ではありません。平均年収が高い会社の中にも、再委託の現場に長く置かれる配属はあります。順位表は候補を絞る道具として使い、最後は手順2と手順3で案件を見てください。

「独立系SIerはやめとけ」は分類固有の話か

分類固有と言えるのは3つで、それ以外は業態全体への批判です。この線引きをしないまま「やめとけ」を読むと、資本と関係のない話まで独立系のせいになります。分類固有と言えるのは、次の3つだと編集部は考えます。

  1. 景気の緩衝材がない——グループ内で案件を回す経路がないため、外部環境の変化が直接届きやすい
  2. 案件の獲得が営業力に依存する——親会社からの発注がないぶん、自社の営業の成績が案件の質と量を左右する
  3. 出世の椅子の埋まり方が違う——親会社からの出向・転籍という経路がないぶん、内部で上がる余地が相対的に広い(裏返せば、外から人を連れてくる経路もない)

3つ目は批判ではなく利点として働くこともあります。「やめとけ」の理由として語られるものの多くは、実は同じ資本構造の裏表です。

一方で、技術力が付かない・調整ばかりになる・多重下請けで天井が低いといった批判は、独立系に固有のものではありません。業態全体への批判であり、公的統計で当否を確かめられる部分と確かめられない部分に分かれます。

そして、辞めると決めた後にどちらへ動くかという工程も本記事の担当外です。外へ出るか商流を上るかの決め方は移動の向きを先に決めるための4つの問いにまとめてあります。

ユーザー系・メーカー系との比較の軸

比べる軸は1つで足ります。案件がどこから入ってくるかです。

分類 案件の主な入口 資本の区分で決まること
独立系 自社の営業/他社からの再委託 親会社からの経路がない
ユーザー系 親会社・グループ会社のシステム 親会社からの経路がある
メーカー系 親会社の製品を含む案件 親会社の製品という軸がある

この記事では、他の2分類の中身には踏み込みません。それぞれの働き方の違いは分類ごとの深掘り記事で扱う設計にしているためです。

40歳の結論——軸ごとに言い切る

「独立系だから良い/悪い」という結論を、編集部は出しません。軸を決めれば、結論は出ます。

  • 年収を最優先するなら:見るのは資本の区分ではなく案件の入口です。自社の営業が発注元から直接取れている会社を選び、配属予定の案件がその中に入っているかを確かめてください
  • 時間を最優先するなら:資本の区分は労働時間を決めません。見るべきは、自社のみなし残業の時間数と、配属予定の現場の実際の残業です
  • 技術で積み直したいなら:独立系の「システム開発が主業務」という説明を鵜呑みにしないでください。担当できる工程は商流の位置で決まります。手順3で契約の線を数えるほうが速く答えが出ます
  • 心の平穏を最優先するなら:分類の議論に付き合う必要はありません。健康を削る長時間労働やハラスメントの下では、編集部は3年どころか3か月も勧めません

どの軸を選ぶにしても、原資は同じ値札(市場価値)です。そして値札は想像ではなく実測で知るものです。転職の意思が固まっていなくても、会社を選ぶ前に自分側の相場を確かめるところから始めてください。

なお、本サイトを運営する編集部の運営メンバーの職種はWebマーケティング領域で、SIerの現場でエンジニアとして働いた経験はありません。だからこの記事は体験談ではなく、条文の原文照合と検索上位10件の実測だけで書いています。確認できなかったものは、確認できなかったと本文に書きました。

よくある質問

独立系SIerで最大手はどこですか?

編集部は個社を評価していないため、社名ではお答えできません。各社の有価証券報告書などのデータを揃えるまで、企業名を挙げた序列づけは行わない方針です。

そのうえで1つ添えます。「最大手かどうか」は会社の規模の話で、あなたが配属される案件が商流のどこにあるかとは別の指標です。規模の大きな会社が再委託の案件を受けることもあります。会社ではなく案件について聞いてください。

独立系SIerとSESの違いは何ですか?

比べている軸が違います。独立系SIerは会社の資本区分、SESは契約の形態です。同じ独立系SIerが、案件によって請負を結ぶことも準委任(SES)を結ぶこともあります。

つまり「独立系SIerでSES契約」という状態は矛盾なく成立します。契約の形態ごとに何がどう変わるかは、「決まらないもの」の節でリンクしたSESとSIerの対比の記事で扱っています。

独立系SIerは客先常駐ですか?

独立系かどうかから、常駐するかどうかは決まりません。常駐は案件ごとの就業場所であり、資本の区分とは別の軸です。

上位10件のうち5件が見出しで「客先常駐が多い」と書いていますが(2026年8月25日・編集部実査)、その比率を資本の系列で切り分けた集計は、編集部が確認した範囲では見当たりません。確かめるなら、配属予定の案件の就業場所を個別に聞いてください。

独立系SIerに向いている人は?

発注元と直接向き合う仕事を増やしたい人には、向く余地があると編集部は考えます。親会社からの案件という経路がないぶん、自社の営業が取ってきた案件では発注元との距離が近くなるためです。

逆に、案件が途切れたときの安定を最優先する人には、確認事項が1つ増えます。手順4の「止まったときの扱い」を、応募前に必ず確かめてください。

独立系SIerとSIerの違いは何ですか?

SIerが上位の呼び名で、独立系はその中の資本による区分です。SIerはシステム開発を一括して請け負う会社の総称で、独立系・ユーザー系・メーカー系などに分けて語られます。

ただし、どの分類に属していても商流の位置は案件ごとに変わります。分類は会社の出自を、商流はあなたの日常を表します。

まとめ

  • 独立系SIerとは、特定の親会社を持たず、資本のうえで独立した立場でシステム開発を請け負う会社の総称。読み方は「どくりつけいエスアイヤー」
  • 「親会社」には会社法2条3号・4号の定義があり、支配の中身は会社法施行規則3条3項が定めている。議決権の過半数だけでなく、40%以上でも条文上は支配に当たりうる(2026年8月25日にe-Gov法令検索で原文照合)
  • 上位10件が繰り返す9つの論点のうち、資本の区分から説明がつくのは4つ。その4つは「親会社からの案件という経路が無い」という同じ1点の言い換え
  • 客先常駐・離職率・納期・成果主義・担当工程は、資本の区分では決まらない。決めているのは案件ごとの契約と社内の制度
  • 見分けるのは4手順。①議決権の比率を聞く ②案件の入口の比率を聞く ③発注元との間の契約の本数を数える ④止まったときの扱いを就業規則で確かめる
  • 当サイトは独立系SIerのランキングを作らない。個社を評価できるデータ(各社の有価証券報告書など)を編集部が取得していないため

「独立系かどうか」で悩む時間より、配属予定の案件が誰から来ているかを1回聞くほうが、答えは速く出ます。分類はあなたの待遇を決めていません。決めているのは、あなたと発注元の間に引かれた線の本数です。


参考・出典

  • e-Gov法令検索 会社法(子会社=2条3号「会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの」/親会社=2条4号「株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるもの」。2026年8月25日に編集部が原文で確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
  • e-Gov法令検索 会社法施行規則(3条1項「法第二条第三号に規定する法務省令で定めるものは、同号に規定する会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定を支配している場合における当該他の会社等とする。」/3条3項1号=議決権の数の割合が百分の五十を超えている場合/3条3項2号=同割合が百分の四十以上である場合〔1号を除く〕であって条文が挙げるいずれかの要件に該当する場合。2026年8月25日に編集部が原文で確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010012
  • 総務省「日本標準産業分類」(情報サービス業は中分類39。資本の系列〔独立系・ユーザー系・メーカー系〕による区分は、編集部が確認した範囲では設けられていない。2026年8月25日確認): https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/index.htm
  • 金融庁 EDINET(上場企業等の開示書類を無料で閲覧できる金融庁のシステム。本記事では有価証券報告書の記載欄には踏み込んでいない〔理由は下記の申し送り3〕): https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/
  • 編集部調べ:「独立系sier」のGoogle検索上位10件の見出し確認(2026年8月25日。ラッコキーワードの見出し抽出機能で取得し目視で確認。見出しを取得できたのは9件で計385本〔1位は本文・見出しを取得できず〕。「40代」「40歳」「政府統計・公的調査の名称」「法令名」「商流」を含む見出しはいずれも0本、「元請」1本、「下請」3本、「離職率」5本〔4サイト〕。見出しに個社名を出しているサイト3件、個社の順位表を持つサイト2件。取得できた9件の平均文字数 約15,370字〔最短7,127字・最長28,950字〕は編集部の算出)
  • 編集部調べ:「独立系sier」に部分一致するキーワード177語の月間検索数(2026年8月25日にラッコキーワードで取得。企業の一覧・順位・年収の序列を求める16語の合計1,250回は編集部の算出)


ABOUT ME
記事URLをコピーしました