エンジニアの市場価値診断|無料で測る4手順と結果の読み方

公的統計と診断ツールを見比べてエンジニアの市場価値を測るイメージ
テックスカウト編集部

エンジニアの市場価値診断|無料で測る4手順と結果の読み方

※本記事には広告(プロモーション)を含みます。編集部が転職サービスを勧める基準は編集方針ですべて公開しています。

**エンジニアの市場価値診断は、公的統計によるセルフ診断(10分)→無料ツール(5分)→スカウトでの実測(2週間〜)→結果の読み分け、の4手順で行います。**最初の2手順だけなら所要15分・費用0円で、個人情報の登録も不要です。

そのうえで、**無料の診断ツールを1つ回して終わりにすると失敗します。**代表的な無料診断(転職ドラフトの「年収診断」)は、運営元の発表によれば経験年数・プログラミング言語ごとの経験・上流工程の経験・役職経験などを質問します。一方で、その経験を元請けで積んだのか二次請け以下で積んだのかという商流上の位置は、公表されている質問項目に含まれていません。主語は41歳・二次請けSES・年収490万円のエンジニアに固定します。

結論:市場価値診断は「精度の低い順」に3層重ねる

**市場価値診断とは、自分の経験・スキルに市場がいくらの値札を付けるかを、統計や第三者の提示額で見積もる作業のことです。**手軽さと精度は反比例するので、手軽な層から順に3層重ね、最後に必ず実測へ着地させるのが編集部の結論です。

手段 所要時間 個人情報の提供 わかること
第1層 公的統計でセルフ診断 約10分 不要 年齢・スキルレベル別の相場の帯と、自分とのギャップ
第2層 無料の診断ツール 3〜5分 ツールにより不要〜会員登録 入力した経験・スキルの条件に対する推定額(相場の目安)
第3層 スカウト・エージェント面談 2週間〜 職務経歴の登録が必要 企業が実際に付ける値札(提示年収・ポジション)

第1層と第2層は「相場を知る」作業で、あなた個人の値札ではありません。**個人の値札が出るのは第3層だけです。**ただし第3層に行く前に第1層を済ませておくと、届いた提示額が高いのか低いのかをその場で判断できます。順番に意味があるのはそこです。

市場価値そのものの定義や、測った値札を動かす方法までを含む全体像はエンジニアの市場価値の測り方(完全ガイド)で解説しています。本記事はそのうち「測る」の実行手順だけを扱います。

準備するもの(所要10分・費用0円)

診断の精度は、手元にある材料で決まります。次の3つを先に用意してください。

  • 職務経歴の棚卸しメモ:担当システム/担当した工程(要件定義・基本設計・詳細設計・実装・テスト・運用のどこまでか)/チーム規模/期間/数字で言える成果
  • 現在の年収の内訳:額面の年収と、そのうち賞与が何か月分か。基本給+固定手当(=所定内給与に近い部分)と、残業代・賞与を分けて把握する
  • 保有資格と取得年:あれば

一方で、**準備しなくていいものもあります。**GitHubのポートフォリオ、新しい資格の勉強、英語のスコア——どれも診断の前提ではありません。40代の学習時間は有限なので、測る前に積み始めるのは順番が逆だと編集部は考えます。

ステップ1|公的統計でセルフ診断する(登録不要・10分)

**最初にやるのは、誰にも個人情報を渡さずにできるセルフ診断です。**厚生労働省の統計を2つ使い、「年齢の帯」と「スキルレベルの帯」を重ねて自分の位置を出します。

1-1|年齢の帯を出す(賃金構造基本統計調査)

情報通信業の年齢階級別の所定内給与(月額)は次のとおりです。40代を通じて上がったあと、50代前半でいったん横ばい〜微減を挟み、55〜59歳が最高になる形です。カーブの形と、自分の年齢階級の水準を確認してください。

年齢階級 情報通信業の所定内給与(月額)
30〜34歳 36万3,400円
35〜39歳 41万100円 ※原典に参考値注記あり
40〜44歳 45万6,800円
45〜49歳 49万1,700円
50〜54歳 49万1,300円(45〜49歳から横ばい〜微減)
55〜59歳 51万6,300円(ピーク)

(出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」〈産業別・年齢階級別〉。一般労働者・男女計、2025年6月分)

比較用に産業計(全産業・男女計)も挙げておくと、40〜44歳は36万4,300円、ピークの55〜59歳は39万6,200円です(同じ調査・同じ時点)。情報通信業の40〜44歳は、産業計の同年齢より約9万円高く、産業計のピークすら上回ります。

読み方の注意が1つあります。**この数値は所定内給与、つまり月額で、賞与も残業代も含みません。**年収と直接比べたり、12倍して年収扱いにすると必ず誤診します。比べるのは「自分の基本給+固定手当」です。

例として、41歳・年収490万円・賞与2か月分の人を編集部が試算します。額面490万円を14か月(12か月+賞与2か月分)で割ると、月あたり約35万円です。ただし額面には残業代も入っているため、実際の所定内相当はこれより低くなります。つまり約35万円は上限側の目安です。それでも情報通信業40〜44歳の45万6,800円に対して約10万円下、産業計の36万4,300円にも届きません。「IT業界の40代」の相場に乗っていないどころか、「全産業の40代」の相場にすら届いていない位置だと読めます。

正確に出したい人は、給与明細の基本給+固定手当の月額をそのまま使ってください。残業代を除いた数字で比べるほど、ギャップは大きく出ます。

なお、このカーブは一直線に上がり続けるわけではありません。45〜49歳49万1,700円のあと50〜54歳は49万1,300円でいったん横ばい〜微減を挟み、そこから55〜59歳51万6,300円の最高値に届く形です。**40代はまだ上り坂の途中で、産業の水準としては50代後半まで伸びる余地が残っています。**下がっているのは年代の相場ではありません。

1-2|スキルレベルの帯を出す(job tag)

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」には、ITSS(ITスキル標準)のレベル別年収レンジが掲載されています(設計・構築区分。第一四分位〜第三四分位。2026年時点の掲載値)。

ITSSレベル 年収レンジ
レベル1〜2 420万〜620万円
レベル3 450万〜700万円
レベル4 500万〜780万円
レベル5以上 600万〜950万円
(参考)PM系 レベル3 600万〜900万円
(参考)PM系 レベル5以上 700万〜1,100万円

(出典:厚生労働省job tag。設計・構築区分およびPM系〈企画立案・プロジェクト管理〉区分の掲載値。自分がどのレベルに当たるかは、担っている工程と裁量の範囲で当てはめてください)

同じjob tagでは、開発系職業(プログラマー・受託開発SE・Web系SE・組込みSE等)の平均年収が578.5万円(平均年齢37.1歳)、基盤システムSE・ITプロジェクトマネージャが889万円(38.3歳)と掲載されています。開発系と上流系の間に約310万円の断層があることが、このあとの読み方で効いてきます。

1-3|2つの帯を重ねて「ギャップ」を出す

やることは1つです。「年齢の帯」と「スキルレベルの帯」を並べ、現年収がどちらからも下にはみ出していないかを見ます。

先の41歳・年収490万円の例なら、こうなります。

  • 年齢の帯:情報通信業40〜44歳の水準に約10万円/月ぶん届いていない
  • スキルレベルの帯:経験17年で設計・改修を担っているなら視野に入るのはレベル3〜4帯(450万〜780万円)。しかし現年収490万円はレベル1〜2帯(420万〜620万円)の下位〜中位
  • 職業平均:開発系平均578.5万円に対して約90万円下

「下位〜中位」の根拠も書いておきます。第一四分位420万円と第三四分位620万円の中間点は520万円で、490万円はそれを下回ります。この中間点は編集部の算出であり、中央値ではありません。

なお、2つ目のレベル別レンジと3つ目の職業平均は、同じjob tag内でも別系列です。掲載元が集計方法を明示していないため、帯の中の位置と平均との差は分けて読んでください。

**3つの物差しすべてで下にはみ出しているなら、それがセルフ診断の結果です。**この時点で「自分の感覚では安い気がする」という不安は、「3つの公的統計に対して下振れしている」という言語化された事実に置き換わります。ここまで登録は1件も不要です。

賃金統計の年齢帯(50代前半で横ばい〜微減を挟み55〜59歳が最高)とjob tagのITSSレベル帯を重ねて市場価値をセルフ診断する図解

ステップ2|無料の診断ツールを、型を見分けて使う(5分)

**セルフ診断のあとに使うと、診断ツールは初めて意味を持ちます。**ただし「エンジニア 市場価値 診断」で出てくるツールは同じものではありません。編集部の整理では3つの型に分かれます(2026年8月時点)。

何を出すか 登録の要否 向いている使い方
スカウト媒体の年収診断型 媒体に蓄積された年収提示データから推定年収を算出 登録不要のものがある 提示額ベースの相場を、匿名のまま見る
エージェントの適正年収査定型 自社の登録者データから適正年収を査定 会員登録が前提のものが多い 面談前の見立てとして受け取る
フリーランス想定単価型 独立した場合の想定月単価・想定年収 個別面談まで含む場合がある 会社員としての値札ではないことを前提に、独立の検討材料として

具体例を1つ挙げます。スカウト媒体型にあたる転職ドラフトの「年収診断」は、運営元の株式会社リブセンスの発表によれば2025年12月10日に提供が始まりました。同発表では「12万件以上のデータを活用」し、「会員登録なしで、どなたでも無料でご利用いただけます」と明記されています(出典:同社プレスリリース。表記は原文のまま)。登録不要の診断が実在するので、「個人情報を渡さないと測れない」は正しくありません。

質問の中身も同じ発表で公表されています。答えるのは「現在の職種と経験年数、プログラミング言語ごとの経験、役職経験など」の質問です。同発表は「『プログラミング言語ごとの経験年数』や『上流工程の経験』『役職経験』など、ITエンジニアの年収を評価する上で重要な独自の項目を選択肢に組み込む」とも書いています(表記は原文のまま)。**上流工程の経験は、聞かれます。**編集部は2026年8月10日に診断ページの表示も確認し、「会員登録不要」「所要時間2分」の表記があることを確かめました(診断を回した検証ではなく、ページ表示の確認です)。

診断結果が「あなたの値札」にならない構造的な理由

ここが本記事でいちばん伝えたいところです。**無料診断が出す数字は、あなたの値札ではなく「あなたと同じ入力条件の人の相場」です。**入力項目が充実していても、この性質は変わりません。

公表されている質問項目は、いずれも「何を・どれだけやったか」を答えるものです。一方で、次の2つは項目として挙げられていません(仕様は変更されうるため、利用時に各サービスの表記をご確認ください)。

  • 商流上の位置(元請けか、二次請けか、三次請け以下か)
  • 業務領域の知識(会計・生産管理・在庫管理などのドメイン知識)

この2つが入らないことが、商流下層のエンジニアには効いてきます。理由は2段階です。

1つ目は、単価が商流で削られていることです。公正取引委員会の実態調査は、多重下請構造では「再委託の都度、中間マージン等が差し引かれるため、下層に行くほど受注金額が低くならざるを得ない」と記述しています。同じスキルセットでも、どこにいるかで金額が変わるということです。

2つ目は、上流工程の欄に書けるものが構造的に乏しいことです。同じ調査では、**下請事業者が主に担当する工程は「開発(プログラミング)」が56.6%を占めました。一方で「ユーザーへの提案・要件定義」はわずか5.5%**です(出典:公正取引委員会「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」2022年6月29日公表。割合は受注者側の回答)。つまり「上流工程の経験なし」と入力することになる人が、下層に集中します。

**そして診断は、その空欄が「機会がなかった」結果なのか「任されるだけの実力がなかった」結果なのかを区別しません。**編集部は、これを「ツールが不正確」とは考えません。入力されていない情報を反映できないのは当たり前で、避けたいのは1つの数字で満足してしまう使い方です。単価がどこで削られているのかはSESの単価相場と単価・給与の構造で詳しく扱っています。

なお、各診断ツールの推定額が実際の提示額とどれくらい一致するかを示す検証データは公表されていません。精度を断定できる材料がないので、当サイトも「この診断は当たる/当たらない」とは書きません。

使う前に確認する2つのこと

診断ツールの対価は、多くの場合お金ではなくあなたの情報です。だから確認する順番は、星の数より先に次の2つです。

  1. 運営者の許可・届出:転職エージェント(有料職業紹介)は厚生労働大臣の許可制(職業安定法30条1項)、経歴を登録して企業から連絡を受けるスカウト媒体は「特定募集情報等提供」として届出制です(同法4条7項・43条の2第1項)。事業者名は人材サービス総合サイトで検索でき、エージェントなら手数料率や離職者数の実績まで確認できます。無許可・無届出の事業者は使わないでください
    • 本記事で例として挙げた転職ドラフトについては、編集部が2026年8月10日に2つの制度を分けて確認しました。スカウト媒体側の根拠は特定募集情報等提供の届出です。厚生労働省「特定募集情報等提供事業者一覧」(令和8年7月1日現在)で、**株式会社リブセンス・届出受理番号「51-募-000255」**を確認しました(届出受理年月日2022年11月24日)
    • エージェント側の根拠は有料職業紹介の許可で、許可番号「13-ユ-306058」が同社の会社概要に掲載されています。同社の欄名は「許可・届出受理番号」ですが、これは届出と許可を1欄にまとめた様式上のラベルであり、この番号自体は有料職業紹介の許可番号です。サービスの中身と40代の実像は転職ドラフトの評判は本当かで公式データから検証しました
  2. 個人情報の使われ方:求職者等の個人情報は「業務の目的の達成に必要な範囲内」で収集・保管・使用しなければならないと定められています(同法5条の5第1項)。診断の入力欄に、診断の計算に不要な項目(現職の社名・詳細な連絡先など)がどこまで含まれるかは、送信前に見ておく価値があります

なお、本記事の法令の記載は一般的な情報です(2026年8月時点)。個別の事業者の適法性や自分のケースの取り扱いについては、厚生労働省・都道府県労働局などの公的窓口に確認してください。

エンジニア向け市場価値診断ツール3タイプの違いを比較した図解

ステップ3|スカウトと面談で実測する(2週間〜)

**ここまでは相場の確認で、あなた個人の値札はまだ出ていません。**値札は、企業やエージェントがあなたの経歴を見て金額を提示したときに初めて確定します。

なぜ最後は民間サービスなのか

**エンジニアの値札は、公的な職業紹介の窓口よりも民間の採用市場で提示されているからです。**厚生労働省「一般職業紹介状況」(令和8年3月分)を見ます。職業分類「情報処理・通信技術者」では、有効求人に対する就職件数の比率が全職業計を大きく下回っています。ハローワークに出た求人が就職に結びつく比率が著しく低い職種だ、ということです。実数と、この指標が何を示す(何を示さない)のかはエンジニアの市場価値の測り方(完全ガイド)で扱っています。

値札が実際に提示される場所がスカウトとエージェントであるなら、実測はそこでしかできません。仕組みと使い倒し方はエンジニアのスカウト転職の仕組みで解説しています。

実測で記録する5項目

実測を「なんとなく登録して放置」で終わらせないために、記録する項目を決めておきます。編集部が勧めるのは次の5つです。

記録項目 なぜ記録するか
提示年収のレンジ(最低・最高) あなたの値札の幅。1通の当たりではなく分布で見る
ポジション名 メンバー採用かリーダー・PM採用かで、値札の伸び方が変わる
送り主の種類(企業の採用担当/エージェント/一斉配信) 誰の財布から出た言葉かで、額の意味が変わる
商流上の位置(元請け/自社開発/SES) 同単価のSES案件ばかりなら、それはレジュメか置き場所の問題
受信日 半年後に同じ経歴で測り直したときの比較起点になる

**この5項目を半年ごとに更新すると、単発の診断が「定点観測」に変わります。**評価面談や単価交渉で使えるのは、1回の診断値ではなく、実際に届いた提示額の記録です。

編集部の実測例

編集部の運営メンバー(40代)の職種は、エンジニアではなくWebマーケティングです。それでも現在まで、マーケティング責任者・室長クラスのポジションのスカウトを継続的に受信しています。届いたスカウトは、上の5項目の形で記録しておくと定点観測に使えます。職種は違っても、測り続けている人と測っていない人では、判断材料の量が年々開いていくという構造は同じだと考えています。

なお、「40代・商流下層のエンジニアにスカウトが何通届き、いくらの提示が出るか」という公的統計は存在しません。エンジニア向けスカウトの実測データを編集部が持っているわけでもありません。存在しない数字を断定するつもりはないので、当サイトは記録の取り方と、手元にある実物だけを示します。

ステップ4|結果を読む:4パターンの読み分け

**出てきた数字は、高い・低いで一喜一憂するものではなく、原因を切り分ける材料です。**セルフ診断・ツール・スカウトの3つが揃うと、次の4パターンに分かれます。

パターン 何が起きているか 次の一手
統計・ツールの値 > 現年収。スカウトの提示も現年収超え 実力ではなく置き場所の値付けが安い。商流下層で中間マージンが差し引かれている典型 商流を上る(元請け・一次請け・ユーザー企業側)。または実測値を持って社内交渉
統計・ツールの値 > 現年収。だがスカウトは同水準ばかり 相場は上にあるが、経歴が市場の言葉になっていない可能性が高い レジュメに工程・規模・数字を入れて書き直し、半年後に測り直す
統計・ツールの値 ≒ 現年収。スカウトも同水準 現職の値付けは相場どおり。動かない選択も合理的 値札を上げる一手(上流経験・業務知識の言語化)を先に積む
ツールの値 < 現年収 現職が相場より高く払っているか、入力条件が実態を反映していない(商流上の位置・業務領域の知識が入らない構造) 数字より、現職の3年後の見込みと市場の需給で判断する

判断に迷ったときの原則を1つ挙げます。統計とツールは「相場」、スカウトの提示は「値札」です。食い違ったときに信じるのは、実際に金額を出してきた側です。

そして、どのパターンでも編集部の立場は変わりません。転職はしなくていい。40〜44歳男性の転職入職率は6.8%(25〜29歳は15.1%。全産業・2024年。出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」)で、この年代は動かない人が多数派です。測ったうえで留まるのと、測らずに留まるのは別物だと考えます。

うまくいかないときの対処法

編集部が手順を組み立てるなかで、読者がつまずきやすいと考えたのは次の4か所です。

  • 診断ツールの職種選択に「業務系SE」がない:選択肢がWeb系・モダン技術前提のツールは、業務系・基幹システムの経験を評価する設計になっていないことがあります。無理に近い選択肢を選ぶと結果が歪むので、そのツールは使わずステップ1のセルフ診断とステップ3の実測に寄せてください
  • 経験年数を入れると上限に張り付く:経験17年を入力しても、年数の効き方に上限があるツールでは値が伸びません。年数で伸びないのは仕様であって、あなたの評価ではありません。商流上の位置と業務領域の知識が効くのは第3層です
  • スカウトが同単価のSES案件ばかり届く:一斉配信は「稼働可能なエンジニアか」だけを見て送られます。スキル名の羅列だけのレジュメには同質の案件が集まるので、工程・規模・改善実績を書き足すのが先です
  • 職務経歴に書ける数字がない:規模(利用者数・データ量)、期間(何年運用したか)、件数(月次リリース数・障害対応数)のどれかは必ずあります。単価や社名を書く必要はありません。下流工程しか任されなかったのは構造の話(下請の要件定義担当は5.5%)なので、そこを引け目に感じて空欄にする必要はありません

完了後にやること:測った値札の使い道は3つ

**測り終わったら、使い道を先に決めてください。**転職だけが出口ではありません。

  1. 転職に使う:提示された値札が現年収を明確に上回っているなら、年収に換えるか、時間・場所・心の平穏に換えるかを自分の軸で選べます。家族と住宅ローンがあるなら、在職中に活動して急がず比較することを勧めます
  2. 社内交渉に使う:「市場ではこのレンジ」という実測値は、評価面談・単価交渉でいちばん強い材料です。この業界は、黙って待つ人から順に安く使われます
  3. 「動かない」を選ぶ材料に使う:相場どおりに払われているとわかったなら、堂々と留まればいい。不安の総量は「知らない」ことに比例します

値札を動かす一手(商流を上る/身を置く業界を選び直す/積み方を変える)はエンジニアの市場価値の測り方(完全ガイド)、40代からのキャリア全体の設計は40代エンジニアの生存戦略で扱っています。

診断ツールに登録しなくていい人

全員に勧める記事は信用に値しません。次に当てはまる人には、編集部は今はツールへの登録を勧めません。

  • ステップ1をまだやっていない人:比較の基準を持たずに数字だけ見ると、高くても低くても振り回されます。順番はセルフ診断が先です
  • 独立の予定がない人がフリーランス想定単価型の診断だけを使う場合:出てくるのは会社員としての値札ではありません(単価には税・保険・稼働リスクが含まれていません)
  • 心身が限界で、今日を凌ぐ判断が必要な人:値札の測定は中期戦です。ハラスメントや健康を削る働き方の下にいるなら、測るより先に退避(休職・退職・労働相談)を優先すべきだと編集部は考えます

逆に、「転職する気はまだないが、単価も年収も数年動いていない」人——本記事の想定読者です——には、登録不要のセルフ診断を今日やらない理由がありません。

よくある質問

市場価値診断とは何ですか?

自分の経験・スキルに市場がいくらの値札を付けるかを、統計や第三者の提示額で見積もる作業です。手段は公的統計によるセルフ診断・無料の診断ツール・スカウトやエージェントによる実測の3層に分かれ、個人の値札が出るのは実測の層だけです。前の2層は相場の物差しとして使います。

エンジニアの年収診断はできますか?

できます。会員登録なしで使える無料の年収診断も実在します(例:転職ドラフトの「年収診断」は運営元の発表で「会員登録なしで、どなたでも無料でご利用いただけます」とされています。2025年12月10日提供開始)。同発表では質問項目に経験年数・プログラミング言語ごとの経験・上流工程の経験・役職経験などが挙げられています。ただし商流上の位置(元請けか二次請け以下か)と業務領域の知識は項目に挙がっていないため、相場の目安として受け取ってください。

市場価値診断ツールはどれがいいですか?

「どれが正確か」ではなく「どの型か」で選ぶのが編集部の答えです。匿名で相場を見たいならスカウト媒体の年収診断型、面談前の見立てが欲しいならエージェントの適正年収査定型、独立を検討しているならフリーランス想定単価型です。どの型でも、使う前に人材サービス総合サイトで運営者の許可・届出を確認してください。

自分の適正年収はどうやって調べますか?

登録不要でできるのは、公的統計を2つ重ねる方法です。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」で年齢階級別の水準(情報通信業の40〜44歳は所定内給与45万6,800円/月・2025年6月分)を確認し、job tagのITSSレベル別レンジ(設計・構築でレベル3は450万〜700万円など)で自分の帯を当てます。月額の所定内給与と年収を混ぜないことが最大の注意点です。

エンジニアで年収500万円はどのレベルですか?

job tagのスキルレベル別レンジ(2026年時点掲載値)では、レベル1〜2帯(420万〜620万円)の下位〜中位にあたります。レベル3帯(450万〜700万円)で見れば下位です。第一四分位420万円と第三四分位620万円の中間点は520万円で、500万円はそれを下回るためです。この中間点は編集部の算出であり、中央値ではありません。

なお、job tag掲載の開発系職業の平均年収は578.5万円で、500万円はこれを下回ります。この平均とレベル別レンジは、同じjob tag内でも別系列で集計方法が公表されていません。帯の中の位置と平均との差は、分けて読んでください。

ただし商流下層では実力より低い値付けが構造的に起こるため、レンジ表だけで自分のレベルを決めつけないでください。判定はスカウト・面談での実測で行うのが確実です。

診断結果が実際の感覚と合いません。なぜですか?

診断が聞かない項目に、あなたの価値の大半が入っているためだと考えられます。上流工程や役職の経験を聞く診断はありますが、その経験をどの商流の位置で積んだのか、どの業務領域の知識を持つのかは項目に入っていません。公正取引委員会の調査では下請事業者の担当工程は開発が56.6%で、要件定義は5.5%です。下層では上流の欄がそもそも埋まりにくく、その空欄の理由まではツールが判別しません。合わないと感じたら、数字を疑うのではなく実測の層へ進んでください。

まとめ|今日できるのは、登録不要の10分です

  • 市場価値診断は**「公的統計のセルフ診断 → 無料ツール → スカウトでの実測」の3層**。個人の値札が出るのは実測だけ
  • セルフ診断は登録不要・10分。情報通信業40〜44歳の所定内給与45万6,800円/月(2025年6月分)とjob tagのITSSレベル別レンジを重ね、はみ出しを見る。月額と年収を混ぜない
  • 無料診断は上流工程や役職の経験まで聞くものもあるが、商流上の位置と業務領域の知識は入力されない(下請事業者の要件定義担当は5.5%で、下層は上流の欄が埋まりにくい)。相場の目安として使う
  • ツールを使う前に、運営者の許可・届出(職業安定法30条1項・43条の2第1項)と個人情報の使われ方(同5条の5第1項)を確認する
  • 結果は4パターンで読み分ける。相場と値札が食い違ったら、金額を出してきた側を信じる

測る手順が向いている人:在職中で、転職の意思は固まっていないが、単価・年収が数年動いていない40歳前後のエンジニア。
向いていない人:心身が限界で今日の退避が必要な人(測定より先に相談窓口へ)、独立の予定がないのにフリーランス単価診断だけで判断しようとしている人。
測る前に確認すること:運営者の許可・届出、入力する個人情報の範囲、その診断が会社員の年収か独立後の単価か。
現職と比較すべきもの:提示された年収レンジ・ポジションの階層・商流上の位置と、現職の3年後の見込み。
使うサービスの構成:スカウト1社(定点観測)+大手エージェント1社(経路確保)+IT特化エージェント1社(換金レートを上げる)。

転職を決める必要は、今日はありません。**今日できるのは、誰にも情報を渡さずに済む10分のセルフ診断だけです。**値札を測った人から順に、年収でも時間でも心の平穏でも、選べる範囲が広がっていきます。


参考・出典

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